一輪の花 (HIGH and MIGHTY COLOR) Text by Twin | SOUNDWITCH members BLOG


「THE DIVINE COMEDY」全曲解説を始めて3日目。ダンテの神曲になぞらえたINFERNO(地獄編)2曲の解説を終え、PURGATORIO(煉獄編)に移る前に、今日は特典収録であるHIGH and MIGHTY COLORの「一輪の花」を解説していきたいと思います。

2000年代、クラブのロックイベントなんかでは、ヘビーサウンドに男女ツインボーカルが縦横無尽に交差する洋楽ナンバーをDJが流すと皆超盛り上がったもんだなぁ。
クリーンボイスとグロウルの組み合わせとか、男女に限らずだけどツインボーカルのラウドバンドが「新しいスタイル」としてたくさんいた事を思い出します。

そんな時代背景の中。
日本の音楽シーン、それも所謂「J-POP」と呼ばれるオーバーグラウンドに彗星の如く現れたHIGH and MIGHTY COLOR。

今よりも歌謡曲ががっつりメインを張っていた当時のJ-POPシーンでこのスタイルのラウドバンドがこれほど速いスパンで容認されるとは思ってもみませんでした。
そんな驚きを尻目にあれよあれよと言う間に「ハイカラ」人気は加速し、瞬く間にライブハウスシーンに於けるバンドスタイルにまで影響を及ぼしたのです。

1990年代後半〜2000年代というのはとにかく洋楽ヘビー/ラウドロックの黄金期で、めちゃくちゃかっこいい洋楽バンドがわんさか台頭していました。そのどれもが「こんなにヘビーな音初めて聴いた」や「こんなスタイルのバンド初めて見た」など、各々が新しい音楽様式を確立し、その後の音楽界に広く深く影響を与えました。 
メタルやハードコアパンク等のラウドミュージックシーンの中に、ラップやヒップホップやレゲエやファンク等のブラックミュージックが取り入れられ、日本のライブハウスシーンに於いても「ミクスチャー」と呼ばれるクロスオーバースタイルが隆盛を極めました。
やがて「ミクスチャー」の名の下、様々なジャンルの音楽をラウドミュージックにミックスさせたバンドがたくさん出てきたのを覚えています。
そしてそのムーブメントは音楽的要素だけに留まらず、「スタイルのミックス」も生み出し、後に細分化されて現在に受け継がれていく事になるのです。
ツインボーカルのラウドミュージックスタイルもその中の一つだと思います。 
 

そんな中、何故HIGH and MIGHTY COLORが日本のオーバーグラウンドで知名度と人気を総なめにしたのか。それはやはり女性ボーカリスト、マーキーの歌唱法とビジュアルイメージが大きな要因だったと思います。
歌謡曲の延長線上にある歌唱法と「少女」らしい衣装やビジュアルは、ラウドミュージックと無縁のリスナーにも幅広く受け入れられ、男性陣の奏でるラウドな質感は「新しいスタイルの異物」として支持されたのではないでしょうか。
逆にラウドミュージックを聴き慣れているリスナーは、マーキーの普通っぽさがラウドと融合している事実が斬新だったのではないかと。

そういった意味でHIGH and MIGHTY COLORは、当時オーバーグラウンドとアンダーグラウンドの「ミクスチャーバンド」としてセンセーショナルに両シーンを席巻したのです。

SOUNDWITCHが2009年に1stアルバム「WICCAHOLIC」をリリースしている事からお気づきかもしれませんが、そうです、我々はそんな時代背景のライブハウスシーンから活動をスタートさせているのです。

実際当時のライブハウスでは男女ツインボーカルラウドバンドの数が半端なかったです。イベント一日の対バンのうち、最低でも1〜2バンドはこのスタイルだったんじゃないかな。
まあ単に男女ツインボーカルといっても千差万別だし、もちろん全員がHIGH and MIGHTY COLORの影響を受けているわけではありません。しかしハイカラが世に打ち出した前述の融合スタイルは確実にライブハウスシーンにも反映されておりました。

今だから言えますが、正直羨ましくもあったんですよね。
女の私の声だけではどうしても出せない「男性的なタフさ」。声やライブパフォーマンスで女性的な部分と男性的な部分を同時に両方出せるのはこのスタイルの真髄ですもんね。 
ラウドロックに於いてやはりタフさは必要不可欠で、だからといって女の私が低い声で男性の真似をして叫んでもそこに「リアル」は存在しない。もう一人男性ボーカルがいれば…なんて葛藤も当時ありました。懐かしい。
しかし落ち着いてよくよく考えてみると、私のやりたい音楽に男女ツインボーカルスタイルは必然性がなかったんですよ(笑)必然性がないことはやらない主義なんです。
スタイルを優先してやりたい音楽を置き去りにしては本末転倒ですから、やりたい音楽に似合ったタフさ、つまりSOUNDWITCHらしいタフさとは何ぞやと追求する様になり今に至るわけです。

前置きが長くなりましたが、今回「一輪の花」をカバーするにあたって抽出したかった重要な要素。
それは「ミクスチャー」と「クロスオーバー」です。
我々SOUNDWITCHが実際に肌で感じてきた世代の音楽シーンを象徴するバンドとして、HIGH and MIGHTY COLORのカバーは外せませんでした。

楽曲の演奏アレンジに関しては、当時から現在に受け継がれている空気感を象徴すべく、男女ツインボーカルラウドロックバンドとして不動の地位を築いたスウェーデンのAmarantheを意識しました。
そして多種多様な音楽が入り乱れて「ミクスチャー」として共存した、素晴らしくカオスな当時の時代感と現代感をクロスオーバーさせるべく、歌詞を英詞に置き換え、Numb'n'dub、DiA(CoBra industry)、Deathco (HighTechLowLife)という個性の極み3名をゲストボーカルに招きました。
彼等もそれぞれ数え切れない音楽ルーツを持っていて、そんな彼等とSOUNDWITCHがコラボレーションすると一体どうなってしまうのだろう。爆発でもするんじゃねえか。という純然たる興味から声をかけ実現しましたが、想像を遥かに超えた爆発的ヤバい仕上がりになりましたね(笑)
言い方は悪いけど、「えげつない個性という異物」を自作に取り込む恐怖心。ともすれば己が食い尽くされるのではないかと戦々恐々とするこの緊張感こそ、私が身を置いてきたライブハウスの空気そのものなのです。
しかしそんな中で日に日に確信めいてくるのは、自分達のやっている事に確固たる信念と誇りを持っていれば、せめぎ合う個性すら最高の形で調和するのではないかという仮説。
住む場所、世代、性別、ルーツ、ジャンル、スタイル、シーン等に違いがあれど、各々が本気でぶつかり合えば、お互いを取り込み合い昇華し合えるはず。これこそ本当の意味でのミクスチャー、クロスオーバーなのではないかと。
実際に我々は「SPEAK」をリリースした頃から自分達の作品にゲストを頻繁に招く様になりました。
「SPEAK」ではMVにダンサー、モッシャー、バンドマン、アイドルを。
次作「Celluloid Queen 」収録の「Kiss Me Kill Me」には敬愛する数々の男性ボーカルの皆さんにギャングコーラスで参加して頂きました。
そして今作は上記の三名。
いずれも最高のクロスオーバーを身をもって証明できたと自負しております。

そんなわけで、時を経て現在の我々が提案する「ミクスチャー」を是非体感してください。

それではまた次回!
Shampooの「TROUBLE 」をお楽しみに。

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