「背中に乗れ」
旅の前夜
龍は言った
顔と顔を突きつけて
寝てもないし
起きてもいない
ぼんやりした中で
リアル感もないのだけど
白くて虹を纏った龍は
たしかにそう言った
あんまりにも近すぎて
虹のもやがかかった向こうには
でっかい木の枝のようなものが
生えていて
それをぎゅっと掴むと
何かに触れる
ゴツゴツ硬いんだけど
痛くもない
そばに
白い狐が浮かんでいて
九尾…ではないけど
ふさふさした長い尾っぽが
泳いでいる
一体何なの
結局見せるだけでしょと
正直悪態をつきたくなるけど
龍神の棲まう岬へ