男は絡み合いながら
私は女の断末魔を、瀕死の河を遡る
時間を捩じ込まれた流れ
沈く 石、溢れる 花、降る 歳月
誰も知らない
そいつが 誰か

十字架に架けて、殺しておきながら
神にしたのは 私ではない
喪うことで得たものは
嘘の残骸
コロガル石

空は 流動する色彩
永遠のモノガタリよりも
口先だけの刹那を
夕映にまみえて、
言祝ぐ 一人の女が
額の痣を 烙印と見抜いては、
生み落とす

私は見た
痩せこけた一つ目の巨人の群れが、
やがてひとつになり
孔雀になるのを
落陽に
恍惚として

あいつが生きているかどうか
誰も
知らないだろう