犬の門脈シャント | 草村動物病院 「動物の診察室から」

草村動物病院 「動物の診察室から」

新潟市の草村動物病院のブログです。
高度獣医療のこと、日々の診療で思うこと、動物たちのことなど書いていきます。

 1週間前に門脈シャントの手術をした、パグの「ふじまる君」。経過は順調なのでそろそろ退院です。

 

 門脈シャントは、消化管から出てくる血管(門脈)が正常でしたら肝臓に入り、肝臓がアンモニアなどを取り除いて血液を静脈に流します。

 

 しかし、ごく稀に先天的に門脈から直接静脈に枝分かれする「シャント血管」がある場合があります。

 

 その場合には、アンモニアを多く含む血液が直接静脈に入って、食後元気がなくなり、アンモニアの値が高くなると痙攣発作を起こします。

 

 門脈シャントの子は、小さい頃から食欲があまりなく、すぐに下痢をしたり嘔吐したりして、発育も悪いのが特徴です。

 

 色々な手術法があるのですが、「ふじまる君」のシャント血管は、門脈ー後大静脈シャントで、シャント血管がかなり太く、1回で結紮すると門脈圧が急に高くなり死亡してしまう場合もあります。

 

 今回の手術法は、シャント血管に「アメロイドコインストリクター」を取り付ける手術です。

 

 このアイテムは、外周がステンレスで内腔がカゼインで作られていて、体内に入れると内腔のカゼインが少しづつ膨張していき、シャント血管を少しづつ締めていくのです。

 

 ただこの方法でも、リングの部分の繊維化が急速に起こってしゃんと血管が数日で閉じてしまうと、術後3〜5日目で具合が悪くなることがあります。

 

 幸いにも「ふじまる君」は、そのようなこともなく1週間が過ぎようとしています。

 

 

 

コイルがレントゲンで確認できます。

 

 

 

 

 

 

 

ふじまる君、もうすぐ退院です。去勢手術の術前検査で門脈シャントが見つかりました。よかったですね!