いよいよ,今日からJF’NWが始まります.

かつて,導苦満と餐は友達でした.いつからか,二人はそれぞれの道を歩むようになりました….

餐は,いつも導苦満の引き立て役でした.何かあれば,餐は,いつも導苦満が輝けるように,その身を犠牲にしてきました.しかし,導苦満は餐に敬意を払うことはしませんでした.自分が輝くことばかりを考えていたのです.最初は,餐はそれはそれで楽しんでいました.餐は僅かにでも導苦満のおこぼれを頂戴できたし,プロデュースの成功に快感を感じている部分もあったからでした.

しかし,楽しい時は永遠に続くものではありません.

ある時,餐は金が底をつき,危機的状況に陥りました.困りに困り,やむを得ずに導苦満に相談しました.

『……大変なことになった.実は,試合のためにジムに通う費用や,チームを存続するための費用がなくなってしまったんだ….トレーニングを積めなければ,第一線で戦い続けることは出来ない….そして,このチームをダイヤモンドのように輝く一流のチームとして維持することは難しい状況になった….どうしたらいいだろう…?資金集めのいい方法はないだろうか?』

『……ほぅ,そうですか?なら仕方ないですな!チームは解散!残念だが俺は何もしてやれない.餐は大変だろうが,せいぜいここに戻ってこれるよう頑張れよ!』

使えないお荷物は容赦なく捨てる….確かに恩着せがましいかもしれないが,あまりに残酷じゃないか?

これが,二人が骨肉の争いを繰り広げる発端となった.
導苦満は,成功の階段を上り続け,他方餐は,地獄へ真っ逆さまに堕ちていった.

餐は絶望し,そして,怒り狂った!餐の導苦満に対する感情は,憎悪へと変わった.導苦満への復讐心が,執念となり,地獄からはい上がる原動力となった.

餐は全てを失った….

餐はいつも損ばかりしていた.誰かのために尽くし,踏み台にされ,辛酸を舐めさせられてばかりの人生だった.自分を犠牲にし過ぎた者の末路は,無能で散財して資産のない惨めな存在となることだった.

餐は気付いた.自分の甘さが自分の首を絞めたのだと.

世の中,喰うか喰われるか,結局のところ弱肉強食なのだということを痛感した.容赦なき攻撃性を身につけなければ生き残れないことに気付いたのである.

これは,崩壊したHWF(法学 レスリング フェデレーション)時代の悲劇である.その悲劇を関係者は,『カーテン・コール』と呼んだ.

あれから四年の月日が流れた….

餐は,導苦満と対等,いやそれ以上の存在に進化していた.

JF’NWでスーパースターとして活躍し,全てを手にしていた導苦満.相変わらず人気は爆発的だった.試合終了後,GMがリングに上がった.

『もう,お前に従うだけの暗黒の時代は終わる!この団体に光を照らす存在が現れる!彼はお前らがよく知っている奴だ!』

(エントランステーマが流れる)

『団体の救世主!自由の子,餐だ!!』

会場からは大歓声が沸き起こる.

導苦満の高慢な笑顔は,一瞬にして凍りつく.

『久しぶりだな,導苦満!地獄から生還したぜ!貴様に与えられた絶望を,利息を付けて貴様に返してやるぜ!覚悟するんだな!もう昔のような腰抜けで臆病者な俺ではないぞ!今週の日曜日,NO WAY OUT で貴様に試合を申し込む!貴様に逃げ道は無いぞ!試合形式は,ランバージャックだ!!』

会場のファンは狂乱し大歓声をあげた!


つづく