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〇 野田雅也さんの写真展~311、船大工にフォーカスして~写真のあちこちにあふれるソウル

 

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〇 野田雅也さんの写真展~311、船大工にフォーカスして~写真のあちこちにあふれるソウル

 

【Masaya Noda’s Photo Exhibition : Focus On Ship-Wright】

 

311。

 

2023年4月8日付け本ブログでご紹介した写真家野田雅也さんの写真展『造船記』を見た。

 

野田さんがいらしたので、いくつか解説を受けながら、写真を見た。

 

驚いたのは、それぞれの写真にそれぞれのストーリー(物語)があるということだ。おそらく数千人の死者に数千のストーリーがあり、さらに生き残った何万人に何万のストーリーがあるのだろう。この写真には、そんな無数のストーリーのほんの一部が凝縮され、描かれている。

 

311自体が強烈な爪痕を残しただけにそのドキュメントは、否が応でも胸を締め付けられる。つくづく思うのが、自然の力の前に人間はかくも弱気ものか、ということ。

 

何枚かの前で解説を受けたが、いちいち驚き、感銘する。写真がもつ力は本当にすごい。

 

野田さんは、2011年3月11日には都内で撮影中に地震にあい、翌日には現地に機材を持って出向いたという。以来約10年かけて撮影したものから、選りすぐって一冊の写真集にまとめた。

 

311関連では原発周辺にフォーカスして映画も作った。今回の写真集は、流された船を修理する船大工にフォーカスして物語を編んだ。

 

舞台は岩手県大槌町。津波に襲われ、壊滅した。

 

野田さんがこの写真を解説してくれた。キャプションは写真横に文字が展示されているが、写真集にもこの解説文が掲載されている。

 

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写真のキャプションより

 

浜田善成さんは、造船所から軽トラックで避難する途中、黒い波に吞み込まれた。「一瞬、冷たいと感じたけど感覚はそれだけ。水中で息が苦しくなり、家族の顔が頭をよぎった」。死を覚悟したが、流れの勢いで車内から水面に体が押し上げられた。しかし、今度は引き波に流されはじめた。「一瞬にいろんなことを思い出すんだよ」。諦めかけたとき、何かが手に触れた。必死に握りしめた。細い枝で、「折れないで」と祈った。浜田さんの命を繋いだのは、赤浜小学校の校庭にならぶ桜の古木だった。

 

(キャプションここまで)

 

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写真の人物が浜田さんで、後ろに映っている桜の木が浜田さんを救った桜。しかも、これは彼が卒業した母校だったという。浜田さんは母校の桜に救われた男になった。

 

しかし、その後、この地が「底上げ」(地面に土を盛り、土地の高さを高くする)のために、泣く泣くこの樹齢100年以上と思われる桜の木は切られてしまうことになった。広く根を張った根の先まで掘り起こすことが事実上不可能とおもわれたからだ。浜田さんは、「俺を救った木を切るのか」と怒りと絶望の涙に震えたという。

 

僕は、高山広さんの「さくらばあちゃんのいる街」を思い出した。

 

高山広・311鎮魂歌『さくらばあちゃんのいる街』

2020年03月12日(木)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12581350899.html?

 

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世界的に有名になった民宿あかぶの建物の屋根に乗せられた「はまゆう」号の写真もある。これは、ここに映っている手前のところで、その日点検のために、置かれていたそうだ。朝から作業がされていて、運命の2時46分、そして、津波のときには必死に船にしがみついていたそうだ。一段落して船から降りた船大工さんたちは、あの写真が世界的に有名になるんだったら、もっと乗っていてもよかった、とジョークを言うそうだ。

 

手前の台座にはまゆう号は乗っていたが、津波で、少し先の民宿の屋根に押し上げられた

 

その写真(ニューヨーク・タイムズ掲載のもの)

https://ameblo.jp/soulsearchin/image-10841006248-11124856877.html

 

 

ほかにも、防波堤が崩壊した話、折れた灯台、神社に奉納されていたものが無事残っていた話など、自然の力に勝るスピリチュアルな力も見せられている。

 

写真のあちこちに「ソウル」があふれている。

 

右・野田さん、左・吉岡

写真集の表紙を飾った写真、Bゼロという大きさにプリントアウトされている

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全国展開できればいいとお考えだそうで、この写真展を行ってみたい方は、野田さんにご連絡を。

 

野田雅也ホームページ

https://masayanoda.com/

 

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『造船記』~写真展でも販売中。アマゾンでも入手可。

 

造船記 単行本(ソフトカバー) – 2023/3/6

野田雅也 (著)

B5版 (大学ノートと同じ大きさ)厚さ1.8cm \3850-

https://amzn.to/43y7uPL

 

 

写真展は2023年4月19日(水)まで。入場無料。日曜日はお休みなので、月~水でおはこびください

 

○東京展

 

期日:2023年4月13日(木)~19日(水)入場無料 4月16日(日)は休館

時間:10:00〜18:00(最終日15:00まで)

会場:アイデムフォトギャラリー「シリウス」

〒160-0022 東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F (入口は新宿通り沿い)

 

新宿フォトギャラリー(写真展)『シリウス』

AIDEM(アイデム)が主催するフォトギャラリー(写真展) シリウスです。あなたも写真展が開催できます。開館時間 10:00

www.photo-sirius.net

 

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写真家野田雅也さんが311で被災した船大工を中心にした写真展を開催~写真集も発売|Soul Searcher

@soulsearcher216

 #note https://note.com/ebs/n/nb9ec62ff77c9  https://instagram.com/noda_masaya/

 

写真家野田雅也さんが311で被災した船大工を中心にした写真展を開催~写真集も発売

2023年4月8日

https://note.com/ebs/n/nb9ec62ff77c9

 

ニューヨーク・タイムズの震災写真~「ソウル」の二重露光

2011年03月26日(土)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10841006248.html

 

https://ameblo.jp/soulsearchin/image-10841006248-11124856877.html

 

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