〇キッスのポール・スタンレー @PaulStanleyLiveがソウルの名曲ばかりを歌うライヴ
【Paul Stanley’s Soul Station】
ソウル。
ロック・グループ、キッス(KISS)のポール・スタンレーが自身のルーツでもあり、好きなソウル・ミュージックの曲ばかりをカヴァーして披露するライヴ・ハウスでのライヴ。グループ名はその名もソウル・ステーションといい、ポール自身が「グループの一人」と明言する。
セットリストは、なんとソウル・ファンなら誰でも知ってるような王道の1960年代から70年代にかけてのソウル黄金期のクラシックばかり、14曲。モータウン、フィラデルフィア、メンフィス、各地のソウル・ミュージックだ。
何度も来日して個人的に僕とも旧知のアレックス(アレッサンドロ・アレッサンドローニ=なんと今回の音楽監督)によるとその経緯はこうだ。
「2014年の暮れころだった。ポールから電話があり、こういうのをやりたい、と言ってきた。彼はジミ・ヘンドリックスやビートルズが出る前から、オーティス・レディングやモータウンを聴いていた。父親に連れられてテンプテーションズやオーティスのライヴに行っていたそうだ。そしてあの頃の曲は、最近のものに比べて本当に素晴らしい。今の曲はつまらない、と言っていた。だからあの頃の曲ばかりをやってみたい」という。ちなみに、ポールはニューヨーク出身。イヴェントかなにかの仕事で、そういう誘いがあったらしい。
ポールの自伝には、ジミ・ヘンドリックスなどのほかに「オーティスやソロモン・バークのライヴを見た」と書いてあった。
以来ここ3年ほど、彼がキッスのライヴをやらない合間にときどきこのソウル・ステーションのライヴをやっている。
驚いたのは冒頭の3曲などは、ポールがファルセットで歌ったこと。そして、コーラスには簡単な振付もついていた。ポール自身が、テンプスのエディー・ケンドリックス、スタイリスティックスのラッセル・トンプキンス・ジュニアなどファルセットの名手の名前を具体的にあげていたのが興味深かった。そういうのが本当に好きなんだなと思った。
また、ジャクソン・ファイヴの「アイ・ウォント・ユー・バック」を歌ったバックの女性シンガーの一人、クリスタルは圧倒的だった。彼女はソロ・デビューしてもいいのではないか。歌唱力、声力、声量ともに圧巻だった。
男性のギャヴィン、もう一人のローランの歌もよかった。
「年間20本程度だろう。今日はここの会場が70分だから14曲だったけど、90分、100分くらいはできるだけの持ち曲はあるよ」とアレックスはいう。
この日も14曲のほかに、予備曲として、テンプテーションズの「ザ・ウェイ・ユー・ドゥ・ザ・シングス・ユー・ドゥ」、スタイリスティックスの「ユー・アー・エヴリシング」、ブルーマジックの「サイドショー」などがあった。
この日の14曲を分類すると、8曲までがモータウン。フィリー3曲、メンフィス1曲、その他2曲といったもので、やはりモータウンが圧倒的に多い。
またドラムスは現在のキッスのメンバーでもあるエリック・シンガーで、キッス・ファンとすれば、ポール、エリックをこの近さで見られることがなによりも嬉しいとのこと。
ちなみに、ホーンセクション3人のうち2人は日本在住だった。なんと、ステージにいてびっくりしたアンディ・ウルフは、もちろん、『ソウル・サーチン:ザ・セッション』にも参加してくれているソウル・サーチャーの一人だ。
ロック・ファンの100人に1人でも、こうした往年のソウル・ミュージックの魅力に興味を持ってもらえればうれしい。
ライヴ後、地下でうろうろしていたら演奏を終えたバンドメンバーたちが通りがかったので、記念写真。
左からレイ・イーズラス(パーカッション)、ジョン・パーペンブルック (トランペット、ホーン・リーダー)、イーライ・ライズ(キーボード)、ショーン・ハーレー(ベース)、アレックス(キーボード)、吉岡正晴
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ポールのインタヴュー。このソウル・ステーションについても語っています。
KISS Paul Stanley's Soul Station
(Paul Stanley, Interview, about 40 minutes)
https://www.youtube.com/watch?v=uTZWJGwCw3c
■セットリスト
Setlist : Paul Stanley & The Soul Station, January 11, 2018, second set @ Billboard Live Tokyo
[ ] denotes original artists
Show started 21:30
01. Get Ready [Temptations]
02. La-La-Means I Love You [Delfonics]
03. Just My Imagination [Temptations]
04. Let’s Stay Together [Al Green]
05. Tracks Of My Tears [Miracles]
06. I Want You Back [Jackson Five] (featuring Crystal)
07. Baby I Need Your Lovin’ [Four Tops]
--. Introducing Members
08. Dancing In The Street [Martha & The Vandellas]
09. Ooh Baby, Baby [Miracles]
10. Signed, Sealed, Delivered, I’m Yours [Stevie Wonder] (featuring Gavyn)
11. Betcha By Golly, Wow [Stylistics]
12. Could It Be I’m Falling In Love [Spinners]
13. Ooh Child [Five Stairsteps] (featuring Laurhan)
14. Who’s That Lady [Isley Brothers] (featuring drum-solo, guitar-solo, keyboards-solo)
Show ended 22:49
Members
ポール・スタンレー / Paul Stanley (Vocals)
エリック・シンガー / Eric Singer (Drums)
アレッサンドロ・アレッサンドローニ / Alessandro Alessandroni (Keyboards)
ギャヴィン・ローン / Gavyn Rhone (Vocals)
クリスタル・ナイトン / Crystal Knighton (Vocals)
ローラン・ベアート / Laurhan Beato (Vocals)
ジョン・パーペンブルック / Jon Papenbrook (Trumpet / Lead Horn)
アンディー・ウルフ / Andy Wulf (Saxophone)
グスターボ・アナウレート / Gustavo Anacleto (Saxophone)
エリー・ライズ / Ely Rise (Keyboards)
ラファエル・モレイラ / Rafael Moreira (Guitar)
ション・ハーレー / Sean Hurley (Bass)
レイ・イーズラス / Ray Yslas (Percussions)
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ポール・スタンレーの自伝
Face the Music: A Life Exposed
Paul Stanley
HarperOne (2016-07-26)
上記の日本語版
ポール・スタンレー自伝 モンスター~仮面の告白~
posted with amazlet at 18.01.11
ポール・スタンレー ティム・モア
シンコーミュージック
(2018年1月11日(木)、ビルボードライブ東京、ポール・スタンレー&ザ・ソウル・ステーション・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Stanley, Paul