○ブルーノート・ジャズ・フェス中止~ほかに選択肢はなかったか | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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○ブルーノート・ジャズ・フェス中止~ほかに選択肢はなかったか

 

【Cancellation Of Blue Note Jazz Festival:  Is There Any Other Options?】

 

中止。

 

2017年9月13日、ドナルド・フェイゲンが北米西海岸でのライヴ4本を体調不良のためキャンセルしたというニュースが伝わり、これを受けて、翌週9月23日、24日、横浜赤レンガ倉庫前で行われる「ブルーノート・ジャズ・フェスティヴァル」がチケットの発売を見合わせる措置を取った。その後9月14日にフェス自体をキャンセル(中止)することが決定され、主催者が同日18時に発表した。

 

ドナルド・フェイゲンの来日中止のために、フェス自体すべてをキャンセルするという決定は、さすがに衝撃を与えた。こういう例は前例がないのではないか。

 

今回のフェスはメインでドナルド・フェイゲンを含んで11組(人)のアーティストが登場。確かにフェイゲン目当ての観客は多かっただろうが、果たしてほかに選択肢はなかったのか。他にどんな選択肢が可能だったか、個人的に考えてみた。

 

フェスは基本的にはアーティストの変更によって払い戻しはしない。それはチケットに明記されている。それでも、おそらく、今回二日間にわたるトリが来日しないで、払い戻しもしないとなると、ちょっとした問題にはなりそうだ。少なくとも不満はでるだろう。ジャズ・フェスのチケットを買った多くの人の目玉がフェイゲンだったであろうと推測して、払い戻しをしない場合、フェス自体を中止にして全額払い戻すという選択肢になったのだろう。それは主催者側にとっては相当苦渋の決断だったと思う。

 

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選択肢。

 

ただそうなると、残り10組を見たいと思っていた人たちにとっては、ひじょうに残念なことになる。

 

たとえばこんな選択肢はどうだろう。

 

①   フェイゲン部分のチケット代をリファウンド(返金)する。たとえば、2000円か3000円か払戻し、残りの出し物を見てもらう。

②   一部返金を望まない場合は全額返金、チケット返却。ライヴは見られない。

③   急遽、フェイゲンに匹敵するアーティストをブッキングする。(これはスケジュール的に難しい。チケットをフェイゲン目当てで買った場合、納得できるかどうか。その場合、返金か)

④   10参加アーティストの演奏時間を長くして、パフォーマンス自体の長さは当初予定通りとする。トリのフェイゲンがいない。返金はなし。それを望まない人は返金。チケット返却。

 

僕は運営事務は相当大変だとは思うが、①がよかったような気がする。

 

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今後。

 

今後こういうことはまた起こる可能性はある。当然主催者は保険に入っているだろうが、1アーティストのキャンセルだけで、フェス自体をキャンセルするのがいいかどうか、という問題は残る。そのためにはどうしたらいいか。

 

たとえば、トリをダブルに考えておくことが必要かもしれない。

 

同じクラスのアーティストを初日と2日目で別々にブッキングする。万が一、一組がキャンセルになった場合、もう一組のトラが2日間やる。しかし、初日そのトラ目当てでそれがキャンセルになった場合、払戻すかどうかは、ケースバイケース。

 

一方、フェス自体が今回のように「一アーティストに頼りすぎる」ことなく、そのフェス自体のヴァリューを高めていくことも必要だろう。

 

思い出すのが、一度東京ジャズで、トリではなかったかもしれないが、ダイアナ・クロールが急遽急病かなにかでキャンセルになり、チャカ・カーンが代打で出たことがあった。

 

蛇足だが、フェスの名に「ジャズ」という言葉が入っていても、海外では「ジャズ」はかなり広い意味で捉えられ、「ジャズ・フェス」でも普通にロックやソウル、ブルーズ、その他のジャンルのアーティストも登場する。ジャズ・フェスでプリンスやレイ・チャールズがでてきても自然だ。その意味で別に名前の部分でこだわる必要はない。つまり「ジャズ・フェス」のトリがドナルド・フェイゲンでどうなのか、という批判はあまり当たらない。「ブルーノート」という単語で十分「ジャズ色」は出ているので、仮にこの場合、「ブルーノート・ミュージック・フェスティヴァル」でもかまわないが。

 

来年、うまい形でリヴェンジしてもらえればと思う。さらに、ドナルド・フェイゲンの回復を第一に願いたい。

 

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予定通り。

 

ちなみに、本フェスに登場予定だったムーンチャイルドのコットンクラブでの単独公演は予定通り行われる。9月25日(月)、26日(火)。

 

http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/moonchild/

 

同じくジェイコブ・コリアーのブルーノート公演も予定通り行われる。9月25日(月)、26日(火)。

 

http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/jacob-collier/

 

ジェイコブ・コリア衝撃の初来日の様子3部作1部→

http://goo.gl/YE4rHt  

 

2部→http://goo.gl/aNJXEY 

 

3部・音の秘密について→

http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12137547066.html

 

ロイ・ハーグローヴも9月27日(水)から29日(金)、ブルーノート公演予定通り行われる。

http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/roy-hargrove/

 

ミクロミュージックも9月22日(金)ブルーノートで単独公演予定通り。

http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/mikromusic/

 

また、同じくデイヴィッド・サンボーンは今回は来日しなくなるが、12月に単独公演が予定されている。

 

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Voyager [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC549)

MOONCHILD ムーンチャイルド

BEAT RECORDS / TRU THOUGHTS (2017-06-02)

https://goo.gl/qegDV8

 

 

IN MY ROOM

JACOB COLLIER

MEMBR (2016-07-01)

https://goo.gl/vHRbgQ

 

ピュア・イマジネーション ~ヒット・カヴァーズ・コレクション~

ジェイコブ・コリアー

Pヴァイン・レコード (2017-09-20)

https://goo.gl/pDvtV2

 

Earfood

Roy Hargrove

Emarcy (2008-07-29)

https://goo.gl/JjZXus

 

Piekny Koniec

Mikromusic

EMI Poland (2013-03-05)

https://goo.gl/FLxH9F

 

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