双子素数 素数分布に関しての新聞報道  解らないことをいい加減に紹介する怖さ | BeeDeeのブログ

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ここに二つの式がある。。。
①  イメージ 2

②     イメージ 3

へんてこりんな記号ですが、記者はこの記号の説明に追われているのです
これは大学一年で習う、下極限 という記号なんですが
「いっぱい無数に集まる」という現象を説明したものです

張益唐 さんが証明したのが上のの式①。

ずーとギリシャ以来 「有名になっている双子素数が
無数に存在する」というのが下の式②になります。

下の式②は、まだ解明されていません。目標です


朝起きて、毎日新聞を読んだ。2014.2.27。
「素数分布に関する新しい結果」というような記事が載っていた。

読んでみた。落胆。。説明に違和感を感じた。。。。。。

しかし、表題は間違いではなくて、その通りなんです。

 思えば、ファルティンクスのモーデル予想の時、フェルマー
の最終定理解決と間違って報道、
最近ではABC予想の紹介をイプシロンの値を限定して紹介等、

新聞での数学の説明の間違いは多い。

以下 、私なりに説明してみます。
力のない私ですが。。。。。。。。。。。。。。

実際の出来事

2005年  Goldston, Pintz, and Yildirim の3人の数学者が、

「連続する素数の差を考えると、その素数の対数の値よりも

いくらでも小さくなるものが無数に存在する」

を示した。これも画期的な成果であったが、2013年張益唐

Zhang, Yitang は具体的に、その差が7000万未満のもの

が無数に存在することを見つけ出した。.この仕事により、4人は

米国の権威あるコール賞数論部門を受賞した。

(2014.1.16 ボルチモアにて受賞)

以後、張益唐の7000万という数字をもっと小さくしようと、

世界中の数学者がコンピュータで協力して、日々成果を

上げていて 600 くらいまでに小さくなっている。



実は、2013年末あたりから素数の分布に対して、新しい結果が出て、
(これを出したのはY.張という その当時は無名の数学者)

多くの数学者がそれに取り組むようになった。

具体的には、双子素数(2だけ離れている素数のペア)が無数に

存在するかという歴史的問題に、画期的な成果が出たということです。

着想が斬新的だったために、世界中の関係者が研究し始めました。

その後、ネット上にその方法について改良しよう話が持ち上がり、

多くの数学者が参加して、PCを使った新しい方法を創造しました。

それは、Polymath(たくさんの数学者)と呼ばれる方法で

多くの数学者が協力して出来上がっています。

それから短期間で爆発的にバージョンがアップし続けていて、

Polymath8、Polymath8a、Polymath8b

などと呼ばれるものが出来上がっていきました。

そのニュースが地球を駆け巡っているわけです。


簡単な説明**************************

3以上の素数と、次の素数の間隔(ギャップ)は
           一番小さい場合になります。
35の間隔は2、711の間隔は41723の間隔は6などとなります。
この間隔が2になるペアを双子素数といいます。
並べると(3,5)(5,7)(11,13)(17,19)・・となります
ではこれが「無数にあるのか、広がり具合はどうなのか」
         という問題が未解決で人類史上有名です。

 言葉が面白いことと、だれでも理解できる問題ということで、
かなり有名な問題になっています。この手の問題としては
解決された、フェルマーの大定理 があります。
又、未解決の問題で ゴールドバッハの予想 などもあります。

  ******************************************

この双子素数のペアがどのくらいあるかというのは数学の長い間の
難しい問題でしたが、2005年当たりから、画期的な成果が発表
され、張博士が間隔が7000万未満のペアが無数にると発見し
たわけです。その後、瞬く間に7000万という数字は書き直され、
600までになっている。

7000万というとすごく大きい数字に思えますが、数論の分野
ではこのように具体的な数字をあげられるというのは正に画期的
なことで、今まではそれが全くできていなかったわけです。

しかも半年も経たない内に 7000万が600に改良された訳です。
爆発的な進歩なのです。

「この間隔が2になるものが、無数にある」というのが

          双子素数の予想になります。

従って、これからは600を2まで小さくすることが
ターゲットになります。

実は、色んなことを仮定すれば簡単に6位まではいきそうだ

ということも知られています。

それで、双子素数予想の解決が近いというニュースが世界を

駆け巡っているわけです。でもこれからが大変だと思います。


実際「ギャップが2の双子素数が無数にある」 

ということが解れば数学は3000年の進歩といえるでしょう。

これは 張さんのレクチャー↓2013.9.25New Hampshire大学於



どこかに一般向けの解る文章がないかと探して、見つけた。

尊敬する 数学者 超弦理論の大栗博司(IPMU)さんが書かれている記事だ。

大栗博司(おおぐり・ひろし)
1962年生まれ。京都大学理学部卒業。京都大学大学院理学研究科修士課程修了。理学博士。東京大学助手、プリンストン高等研究所研究員、シカゴ大学助教授、京都大学助教授、カリフォルニア大学バークレイ校教授などを経て、現在カリフォルニア工科大学カブリ冠教授および数学・物理学・天文学部門副部門長、東京大学カブリIPMU(数物連携宇宙研究機構)主任研究員。専門は素粒子論。超弦理論の研究に対し、2008年アイゼンバッド賞(アメリカ数学会)、高木レクチャー(日本数学会)、09年フンボルト賞、仁科記念賞、12年サイモンズ研究賞、アメリカ数学会フェロー。著書に『重力とは何か』『強い力と弱い力』(幻冬舎新書)、『大栗先生の超弦理論入門』(ブルーバックス)、『素粒子論のランドスケープ』(数学書房)がある
ここではそれを引用させていただきます。素数の説明から始めたい方は、氏の
文章を最初から読むことをお勧めします。これは前編であって、2/27に
後編が発表されます。
ただし、私が一部説明を加えました。お許し下さい 大栗さん 。


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では 大栗氏の説明を紹介します。
         今回のことに関する説明は次の通りです。

2013年4月17 日、数学の世界でも最も権威のある査読雑誌の
一つ『アナルズ・オブ・マセマティックス』に、
ニューハンプシャー大学の無名の数学講師から思いがけない
投稿があった。それは、素数と次の素数の間隔が7000万未満
の素数のペアが無限個ある  というものだ。『アナルズ』に
投稿された論文は厳格な査読を受けるので、出版までに2年
ぐらいかかることも希(まれ)ではないが、この論文は約1






か月後の5/27には出版が認められるという最速の決定だった。
審査した人の報告には、「素数の分布に関する画期的な結果である」
と書かれていた。 "Bounded Gaps between Primes
イメージ 1

この論文の著者の張益唐(ザン・イータン)58歳は、
20年以上前に博士号を取得しているが、長い間安定した
研究職に就くことができず、ファストフードの店員を
して口を糊したこともあったという。
イメージ 4

                       Yitang Zhang
素数を見つけるためには、古くからエラトステネスの篩の
方法が使われていたが、いったんこの新しい方針で素数の
パターンが見つかることがわかると、多くの数学者が参入
するようになった。張の結果を改善して、もっと
間隔の短い素数のペアについて、同じような定理を
証明しようというのだ。
最近は、インターネットを使って、多くの数学者の
共同作業で
定理を証明することもなされている。2009年には、
ケンブリッジ大学のティモシー・ガウワーズが、自らの
ブログ記事で、ある定理の別証明のアイデアをコメント
に書き込むことを呼びかけたところ、40人がかりで
6週間で証明が完結した。この結果はpolymath
という名前で発表された。英語で“polymath”というのは、
百科事典的な知識を持っている人という意味だが、
「たくさん=“Poly”」の「数学者=“Math(ematicians)”」
という意味ももじっているのだと思う。
6月当たりから、数論のフィールズ賞受賞学者の
テレンス・タオさんもこのプロジェクトを熱心に
推進始める。
そして、 の結果は Polymath8aプロジェクト
によって、7月27日には間隔が4680未満の
素数のペアが無数に存在することが証明された。
7000万から4680に改良されたわけです。)



しかしながら、伝統的な数学的手法も健在で、
1119 日には、モントリオール大学のジェームス
メイナードが、間隔をさらに600まで縮めた定理を
発表している。Polymathb
James Maynard.
James Maynard, a postdoctoral researcher at the University of Montreal.

このペースだと、
間隔=ギャップが2の素数ペア:=双子素数が
無限個あるというもともとの予想が証明される
日も近いかもしれない。
この原稿を校正しているときに、アメリカ数学会の2014 年度
のコール賞受賞者のひとりに、張が選ばれたことを知った。
(今回の話の一番最初に出てきたフランク・ネルソン・コール
を記念した賞だ)論文の投稿から受賞まで驚異的な速さである。


張さん、おめでとうございます。
この問題に画期的な貢献をした最初の4人が受賞しました。
張さんと G.P.Y.と略される3人の数学者です

2014 コール賞 2014.1.16 ボルチモアにて
The prize will be awarded on Thursday, January 16, 2014, 
       at the Joint Mathematics Meetings in Baltimore.
以上の内容です。
コール賞は数学の権威ある賞で、日本人では
岩澤健吉 志村五郎 が受賞しています。
(このお二人は、数学の数論分野で画期的な仕事をした世界的な
日本の数学者です。前者は既に他界されましたが、後者は現在
執筆活動もされています
張さんは今回のことで、他にもいっぱい賞を受賞しました。
この期日を追っていってください、2千500年の間人類が
試行錯誤していたことが、一つのことをきっかけに 
わずか半年余りで、7000万から600への改良がなされ
たわけです。如何に研究速度が速いか、これ驚愕の
速さです。

数学者 張益唐さん(Yitang "Tom" Zhang) 男性 58歳 既婚 について
1955年生、張さんは中国での困難な時期を生き抜いた。彼の家族は文化大革命
の間田舎に追放され重労働を強いられ、その後、学校に通うことができ
なかった。仕方ないので手に入る本を参考に自分で勉強をした。10歳前
には数学に興味を持ち始め、小学校の頃には高校生用に書かれた本を
読んでいた。革命が終わった後1978年に北京大学に入学し、学士号と修
士号を取得、1985年に渡米しパデュー大学で博士号取得。ケンタッキー
州の会計士として働いていた。地下鉄の売店で働いたこともあった。1999
年にニューハンプシャー大学で講師の職を得た。2005年に提出された
G.P.Y.の論文に刺激を受けて、双子素数の問題に取り組んだ。最初は全
くうまくいかず色んな方法を考えたがすべてダメで、落ち込み、友達の処に
遊びに行った。そこで過ごすうちに、コンサートに行く前庭でくつろいで居る
時に 突然ひらめいた。それが論文のきっかけになった。次の年の2013年
に論文を発表し、瞬く間に有名になり、講演やインタビューで忙しくなって
当惑しているとのこと。彼は自分を シャイな人間と言っている。過去にニュ
ーハンプシャー大学には4色問題を解決したアペルも居た。
ここでは 双子素数や張さんの結果について紹介されています。
現在見つかっている一番大きな双子素数も出てきます。


色々探してみましたが、この騒動のニュースの元は↓の記事の様な気がします。
丁寧に紹介されたいい記事だと思います。いろんなリ