真・ショートショートvol.7「WHER IS ME?」
人それぞれの恋愛感に口を出すような
思い上がりはしたくないし、俺は人にとやかく
いえるような恋愛経験なんて皆無だ。
俺はアンタの人生に何の影響もないし、
アンタも俺の人生において重要じゃあ無い。
だから、これから俺の話を聞いて
何か感じるものがあってもそれはアンタの
心の中だけにとどめておいてくれ。
これは俺のいつもの朝に展開される日常。
別段風変わりなわけではないつもりだ。
そうだ、誰だって同じのはずさ。
今日も俺は彼女に向かって「おはよう」と囁く。
同じ時間に一緒に朝食をとり、雑談の後、
定職についてない俺は仕事に行く彼女を見送る。
視界に彼女がいないと、とたんに心細くなるものだ。
存在の大切さを再確認しながら帰りを待つ。
就職活動をさっぱり放棄しているが彼女は何も言わない。
俺は彼女の顔を見ているだけで幸福に浸れるのだ。
天井のしみをボーっと見ていると、不意に後ろでチャイムが鳴った。
俺は振り替えって玄関に向かう。
彼女の部屋をピンポイントで捉えている望遠鏡から眼を離した。