プロの実戦からサバキの場面を抜粋します。
比較的簡単な、すぐに実戦に応用できそうなものを選んでいきます。
〇1
黒:藤沢秀行 九段
白:加納嘉徳 九段
1970-01-07 第25期本因坊戦リーグ
白4目半コミ出し
↑黒に▲とあおられたところ。白はどうサバく?
軽いサバキが求められる。
↑実戦は白うまくサバいた。右辺の黒と上辺の連絡を裂き優勢を築いている。
恐らく黒45が打ち過ぎ。
〇2
呉清源 木谷實十番碁 第一局
https://www.101weiqi.com/chessbook/chess/10650/?step=98
「依田流アルファ碁研究」マイナビ、
「人生を変えた一局」マイナビ などに掲載されている。
棋士が選んだこの一手でも本局が選ばれています。
↑今、白が△に抑えたところ。ここで黒はどうさばく?
↑黒1はよくある手。白6で a だと白bと当てて上下が分断される。
↑白4と頑張ると右下を活きに行くことができる。
↑実戦は白2で下ハネ(1の右)で応じた。
ここで黒5以下と打つと黒は活きることができない。右下隅の味もない。
↑ここで黒3とした。白はこの手に挨拶していると1の石が生きてしまうので白4とした。
この後、難解な攻防が続く。
黒1のツケはよく実戦に表れるので基本的な読みはマスターしておきたい。
〇3
呉清源 木谷實十番碁 第一局
同じ碁から。
↑白△としたところ。△は一間の方がよかったとの呉清源九段のコメントあり。
ここで黒はどうさばく?
↑実戦は1,3とツケ切りに出た。
依田九段の解説「木谷先生にしかできないサバキ」
これは下の白一団を狙っている。実際攻め合いで左下の一部を取ってしまった。
木谷九段の碁は力を溜めて溜めて敵陣にドカンと入っていく。
↑カタツキがわかりやすい形作りか。AIもこの手を推奨する。
↑解説には1も示されている。
白2と連絡すれば3から形を作るという意味だろうか?
〇4
第14期十段戦挑戦手合五番勝負第1局
黒:加藤正夫
白:林海鋒
黒にツキアタラれたところ。どうさばく?
「林海鋒 基礎からの筋 上」に収録
https://www.101weiqi.com/chessbook/chess/3735/?step=75
〇5
NHK杯 黒:藤沢秀行 白:島村俊宏
「棋聖 秀行の碁 2 盛り上がる厚み」に掲載。残念ながら棋譜が見つからない。
↑黒が右辺へ打ち込んだところ。
↑白は1からのサバキを選択。1は以前にも出てきた筋。
黒は白を分断して右下へ圧力をかける。
さて、ここで白のサバキは?
↑1(a)から白はサバキにかかる。4では6の出がよかったか。
黒8がよくある眼潰しの筋だが、白11が妙手で生きた。
ただし形勢は黒がよい。上下分断されて白は薄い。
↑Katagoはこの点を推す