鄭 銘コウさんによる著作 誠文堂新光社刊
著者は王メイエンさんの弟さん。長いこと月刊囲碁に掲載されていた講座をまとめたもの。
囲碁は手順により成果を上げることができる場面がある。
利かしを複数打てたり、相手の形を崩したり。
定石の勉強でこういった手順の効果を知ることができるが、
この手順にスポットを当てた本というのはほとんど見当たらない。
手筋は思考の飛躍が必要だが、手順は単に手順の工夫により成果が得られるのがいい。
様子見の手筋なども手順の工夫の範疇に入るだろうか。
問題形式をとっているが答えも同じページにあるのがちょっと読みづらい。
失敗例も含め説明されているし、奇抜な手筋が含まれていることもあまりないので理解は難しくない。
ただし成果は手筋のような大きな戦果を得られるものではないのでちょっとした損得に敏感にならなければならない。
逆に言えば、囲碁のだいご味はそういった精緻な手順によりちょっとした成果を得ることにあるのかもしれない。
実戦への応用はなかなか難しいかもしれないが、
すこしでも応用で来た時、自分の碁が向上していると実感できるものと期待している。
ページをめくって理解した気になるより、じっくり盤に並べて手順を味わいたい。