「打碁鑑賞シリーズ 片岡聡」をぼちぼち並べています。
朝日アマ団体十傑で1日5局実戦を打ったせいで、囲碁をあまりやりたくない気分です。
慣れた本をまた読むというリハビリを始めました。
さて、本の内容ですが片岡聡はバランスの取れた碁でかなり参考になる。
「バランスの取れた」というのは使い古された表現だが、要するに地を稼いでもあまり薄くならないということです。
実際のところ、バランスの取れた碁は真似しやすいようなことを言う人がいますが
かなり難しい。なぜなら細かく勝つことが要求されるからで、
形勢判断、大ヨセからの決めの力が要求されるからです。
それでもなお片岡聡九段の碁は勉強するに値します。
また、大ヨセ以降の解説が充実しており、大ヨセの勉強したい有段者には最適だと思います。
かなり味合わないと損だと思い、自分は1局を5回以上並べています。
参考になる例を一つ

黒が片岡九段で〇に模様を消しに
入ったところ。
ここからの運びはひじょうに参考になります。
要するにaの薄み、bの動き出しの味を見ています。
もちろんcと白に囲われても形勢が黒良いことは
考えてあります。
そして下辺の白も
標的にはいっているのです!

少し手順が進んだところ。
ここで黒1から3が何でもないようだが
大切なところ。
この1,7を「サバキの種」と表現しています。
さらにシノギのめどが立っているので
5と稼ぎます。
15まで
黒はのぞいた石によって利かしまくって
よく見ると模様を荒らしたところか
下辺の白が寂しくなっています。
こういうのはどこまで読んで決行しているのか分かりませんが、
しかし、ある程度傷を狙った構想は真似できます。
特に難しい手筋を使っているわけでもないのに、局面をリードするところに彼の魅力があります。
相手もプロなのでこれはすごいことです。
非常に勉強になる一局でした。
面白いことに、この「打碁鑑賞シリーズ 片岡聡」では巻末で同年代の小林覚が
「現代を代表する布石の打ち手」「正確なヨセ」と持ち上げつつも
「一見、無理筋風の踏み込みを軽視してしまう場合があるようです」と欠点をも述べている。
誰でも欠点はあるもんですね。
「打碁鑑賞シリーズ 片岡聡」は続編を望みます。
無理なのはわかっているが。