「囲碁古典名局選集 剛腕丈和」
高木祥一九段の著書。

学生のころに買って並べていたがあまり当時は面白いと思わなかったが、
今年に入って読み返してみたらとても面白い。

高木九段の打ち碁解説は面白いがこの著書は特に工夫がされている。

1.選局
丈和といえば、とにかく腕力が強く、手どころの難解な碁であることが知られているが、
それだけではないことを示している。

意外かもしれないが、先の手合いでは、ひたすら堅く打ち戦わずに勝ったり、
あるいは、秀策を彷彿とさせる、おおらかに攻めてそのまま平易に押し切ったりと
形勢判断に明るい面がある。
かと思えば幻庵との対局では、地で勝てる局面でも
徹底的に相手の弱みを追及する一面を見せている。

単に幻庵と仲が悪かっただけなのか(;´・ω・)

2.解説
解説に関しては全体の流れが把握できるようポイントに絞っている。
手どころに固執したくどくどした解説ではない。

3.レイアウト
一局につき6~8の譜分けがされていて非常に読みやすい。
収録されている実戦は12局(+参考棋譜がいくつか)。

丈和には当時の権謀術数がからんでダークなイメージが付きまとうが
あまりそのあたりについては記述されていない。

個人的には収録数が少ないが読みやすさの面で高評価したい。