Iさん♂(70)は匪石が師匠の元にいた頃からの患者様です。

すごい男前で若い頃は知る人ぞ知る空手三兄弟の末弟ながら二人の兄貴が

「末弟には誰も勝てない」「目の前から消える」

と口揃えて言う位の猛者でした。

確か博覧会の時に演武で大勢の観衆の前で空中のスイカを抜き手で砕いています。びっくり

それでいて蚊の鳴くような(失礼)小さな声で優しい物腰の人柄。

近年は仕事も引かれて体調を崩すと来院されます。

今回腰を傷められて

Iさん「ズボン履く時に右足を上げるとフラつくんだよね。」

   「センセイに教わった体操するようにしたらそれが直った気がするー」

匪石「Iさん、空手でも左足の蹴りが得意だったでしょう?それは 利き足と軸足 の役割がハッキリ

   し過ぎてる人はそうなるんですよ。」

   「誰でも6:4くらいで軸足が決まってるうちはいいんだけれど、武道やスポーツでそれが

    7:3 8:2 なんて特化し出すとバランスが崩れて軸足を上げられなくなるんですよー」

   「後屈立ちや猫足立ちが癖になってませんかー」

            

匪石「三戦立ちはそんなを矯正する意味合いもあるのかもしれませんねー」

         

Iさん「それだわ。左足の蹴りが得意で相手の顔を往復ビンタしてたから。でも力は右の蹴りの方が

   あって当たったら壁まで飛んでったなー」

匪石「不器用で硬く重い軸足で蹴る方が威力はあるんですよ。」

Iさん「そうそう、柔らかい奴より体の硬い奴の突きや蹴りの方が痛いんだわー」

 

Iさんが匪石堂を出ていかれるとそんなやりとりを傍らで聴いていた連れ合いが

連れ合い「本物のIさんに対してよくもあんな達人みたいな話が出来るもんだー」

呆れられました。ニヒヒあせる