てつそうです。

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とても、励みになります。

こちらは、
肺がんステージ4と診断された
自分の生活と、
その心の変化を
日記として書いています。




4年前。
妻が、婚約指輪、結婚指輪を
無くして帰宅した日があった。

コロナ禍の中で、
仕事の関係上、
指につける事が感染対策に良くないと、

ネックレスにして、毎日つけてくれていた。



自分の仕事が休みで、
家で、TVゲームしてゆっくりしていると、

妻が凄く焦った状態で、仕事から帰ってきた。


自分
『どうしたん?なんかあった?』


妻は、今にも泣きそうな感じで

『ネックレスを落とした………』



え?



妻は、家の中や外の至る所を
探しはじめた。



でも、
見つからない。


『仕事先かもしれない……』


ネックレスの千切れた部品が、
一部、服に引っかかってた。


落としたのが自宅じゃなくて、
仕事先だと思う、と、

車でまた探しに出ていった。



しばらくすると
しょんぼりして帰ってきた。


可能性のある
周辺を探しても見つからなかったと…



妻の仕事は
フリーランスの訪問専門家歯科衛生士。

在宅、施設と、

家から30キロ以上離れた所でも、
車に道具を積み込んで、訪問する。


妻の車のトランクは、
いつも仕事道具でびっしり。


訪問の日にちを合わせて、
妻の事を待ってくれてる
患者さんの元へ駆け付ける。

大変な仕事だな、と思う。


そんな仕事を、
妻はいつも楽しそうにしていた。

仕事好きの妻。


指輪は、
自分も探すを手伝ったが、

家や車の中でも見つからなかった。

訪問先、となれば、
なおさら可能性は低い。
(というか、探しに行くのもほぼ困難。)


見つからなかったのが相当ショックで、
話そうともしてはくれない。


…沈み込んでるなぁ…。


自分
『大丈夫やわ。』



励ましてはみたものの。
ないものはないので、
あんまり励ましにもなってない。



いつも明るい妻が、その日は、
ほとんど喋らなかった。



その日から、
妻の指輪だけなくなった。


妻は忘れっぽいところもあって、
新婚当時、

新婚旅行のときにも
指輪を家においてきたっけ(笑)

新婚旅行で、自分だけ一人が
指輪をしてるというシュールな構図!


新婚だぜ?(笑)
いきなりやらかしよる!
…と、
逆に面白かった出来事を思い出した。




その指輪を本格的に失って、
もう、約4年たつ。


ずっと。
この時の出来事を忘れた事がなかった。

心のどこかに
いつかまた妻に指輪を渡そう。…と、

ずっと、
心の中に引っ掛かっていた。




今、自分がこの病気になって
やっと言える日が来た。


節目だ。きっと。



自分
『入院する前に指輪を買いに行こに!』


近くの大型イオンモールへ、
指輪を見に行った。


妻は
『今度は何があっても、指にはめておく!!
もう外さん!!』

と、言っていた。(意気込んでいた)


最初に入った宝石屋は、
全体を見て…

なんか違うなぁ…。
と思って、

2つ目の店に向かった。

この良し悪しは、
自分のただの勘(笑)

空気っていうか、雰囲気っていうか。

そういう感じるものを大事にしてる。


指輪はそんな高くなくていい。
毎日はめてくれればそれでいい。


2つ目の店では、妻が店員の話を
聞きはじめたので、

自分は、1人で店内を見はじめた。



ショーケースの中を覗き込み、歩く。


……ん?これって……


自分の目に止まった指輪があった。


心の中で、
『まさか…!嘘やろ!!?』
と思った。


落としたはずの指輪と、全く同じ!!


今、自分の指にはめている指輪と
デザインも、太さも、ほぼ一緒だった。


並べてみても、わからなくなるくらい似てる!


すぐに妻を呼び
『ちょっと見て!この指輪!ほとんど一緒やよ!』



妻も、見てビックリしてた。


妻は、すぐに
『これにします!』



メーカーが違っても、
一緒のデザインがあった事に、
なんというか…泣きそうになった。


これも奇跡のような導きに思えた。


今の時期に、
こんな人生の節目の時期に、

また同じ指輪が見つかるなんて。



自分にとって、
妻の指から指輪がなくなってから、
ずっと引っかかっていたから。

どこか『誓い』の想いが
あったからかもしれない。




指輪が出来上がるのは、
退院する頃と言われて、

退院してからしばらくして
店から電話があって、受け取りに行った。


いつもの3人で。



妻の指に、指輪を通す。


自分
『4年越しに指輪をはめるなぁ』


今までの感謝をこめて、妻に指輪をはめた。



妻は、
『もう絶対外さへん。絶対。』


もう、外れなくていいから。と、

以前より
ワンサイズ小さい指輪を選んだ、妻。


外れなくてちょうどいいわ。と、
笑ってた。



この日は、

自分と妻にとって、
忘れられない1日になった。