てつそうです。

いつも、
いいね、やフォローを
ありがとうございます。 
とても、励みになります。

こちらは、
肺がんステージ4の自分が、
がんと診断されるまでの、
生活と、その心の変化を書いています。

未熟なところも多いかと思いますが、
あたたかく見ていただけましたら、
嬉しいです。





一泊二日の検査入院、退院の日。

9/29は、妻との結婚記念日だった。

ちょうど、10年目の。

そんな特別な日だったから
余計に、
妻と、2人で築いた家族で
一緒に過ごす日にしたかった。

身体は痛かったけど、
咳止め薬が効いてきてくれたのか、
ずいぶん治まってきていた。

熱も、ない。
痛みはあるけど、変な痛みじゃない。

よっし!! と思った。

これで今日は退院できる!…と。

朝起きて、
検温のときに来てくれた看護師さんに
早速『退院できそうですか?』と、
聞いてみた。

先生に確認してもらうと、🆗が出たので、

すぐに
妻にLINEして、早く迎えに来てもらった。

妻は、こども園に送った後すぐに、
病院まで迎えに来てくれた。

自分はもう、
病院前のロータリー前で
立って、待っていた。

少しでも早く、帰りたい気持ちがあった。


9月29日の結婚記念日。

とにかく美味しいご飯を食べたい!!

そう話して、

妻と一緒に、
2人でよく一緒に行っている鶏屋へと向かった。


行く車内で、
昨日の検査内容のことを話した。

妻は、
自分の話をずっと聞いてくれていた。

20分くらいすると、
開店前からの鶏屋に到着。

しばらく待って、
店員さんの案内で、席についた。

好きな鶏の部位を注文して、食べた。

注文は、いつも決まってる。
自分は鶏ホルモンか、ヒネ。
妻は、セセリ一択だ。

久しぶりに味わう、味。


なんて美味しいんだろう…。

何回も訪れてるのに、
美味しさに感動してしまった。


妻も自分も、
食べる事が本当に好きで、
いつもデートは、
どこかにおいしいものを食べに行く。

そんな、2人だった。

妻は仕事で、食支援をしている。

食支援を専門にする歯科衛生士だ。

高齢者の喉の力を見極めながら、
食事の方法を考えて支援していく。

そんな仕事柄だからか、
普段から、

『食べるチカラは、生きるチカラ』

というセリフを、よく言っている。

そんな妻のセリフを
あらためて思い出しながら、

満足するまで食べた。


幸せだった。


人って、
幸せを感じていると、
不思議な事に、自然と痛みも柔らでくる。

ネガティブな事ばかり考えて、
食べる事も諦めたら、
身体も心も弱っていくように、

それが病気なって
『もうだめだよ』と、サインを送ってくる。

自分は…
自分にはそれが、
この病だったのかもしれない。

自分でも、どこか気づいてた。

体中が悲鳴を上げているのに、
休むことを選んでこなかった。

それが、誰かのためになると信じて。
それが、何かの役に立つと信じて。

その結果が、病だと言うなら、

いちばん大切な人を
僕は泣かせてしまっただけなのかもしれない。

美味しいご飯を食べていると、
心も回復してくる。

絶望的な病の名前を聞いて、
不安でぐるぐるしてた思考も、

段々と、受け入れられるスペースもでき、
向き合える意識が、生まれてくる。

『覚悟』

という、
その気持ちが固まっていく。

美味しい、と思える感動は、
曇っていた心も、晴らしてくれた。

妻は、
ずっとその事言ってきてくれてたのかもしれない。

…ありがとう。

改めて、妻に感謝の心が湧いた。

目の前で、
めっちゃ美味しそうにしてる顔。
見てれば『幸せ』だとわかるような、
そんな顔。

嬉しかった。

自分には、

こんなに大切な人がいる。
こんなに幸せな時間がある。

痛みが消えたわけじゃないけど、
咳が止まったわけじゃないけど、

今は、美味しくて、幸せだ。

こんな時間を、
これからも、
重ねていけばいいのかもしれない。


そう思うと、

心のなかに
あったかい気持ちが広がるのを感じた。



明日は、
6歳娘の園生活最後の運動会の日。

成長した娘の姿を、
楽しみにしていよう。