9月8日 
夜勤作業時に胸に激痛が走り、

9月10日
クリニックで紹介状を書いて貰い、

9月11日
М中央医療センターでの検査に受診。

肺がんの疑いもあるということでの、
精密検査が始まる。


造影剤を身体に注入しながら
普通と違う方法での、CT検査。

初めての造影剤で、ちょっと緊張した。
点滴で造影剤を体内に入れながら、
CT検査をする。

『造影剤で倦怠感やめまい、
頭痛などあることもあります。』
と、説明された。

検査の時は、まだ大丈夫だった。

検査結果が出てから、診察室へ。

同じ年くらいの落ち着いた呼吸器の先生で、
呼吸器学会の指導医の資格を持たれている
ようだった。
(妻が横で調べていた)

診察室は、一番奥の部屋に通された。

一番奥だ…

混んでいるわけでもないのに、
一番奥の部屋に、となると、
なんとなく、それがまた不安を煽った。

『…失礼します』

入った診察室の雰囲気はなんか重かった。
静かで。
神妙で。
看護師さんと、
ソーシャルワーカーさんが、
同室されていた。
(あとから妻に事務の人?て聞いたら、
たぶんソーシャルワーカーさんだよ、
と言ってた。)

挨拶と、たわいない言葉を交わしたあと、
先生から
『早速検査のお話をしていきますね』

『…落ち着いて聴いてくださいね。』

と、前置きされた。


その一言で、
あぁ、重いやつだ…。って。
そういうのは感じた。

血液検査データと、
画像を見ながら、
説明をしていく。

可能性のある病名を、
ひとつ


ひとつ、 説明してくれていた。
説明して、これは可能性が薄いです、
そしてこれは……

と、
最後に残ったのが、

肺に無数の影があるので

肺癌。

または
肉芽腫(難病指定のサルコイドーシス)
と言う今まで聞いた事もない病名も言われた。


まだどちらかとも断定はできない。

どちらであってもそれを聞いた瞬間は
言葉が出なかった。

診断した先生は、言葉を慎重に選びながら、

サルコイドーシスの方が疑いが強い、と

まるで安心を与えるかのように言ってくれていたが、

正直、
思考としては、
どうしたらいいんや……としか、思えなかった。


今まで色んなかかりつけの病院を受診して
レントゲンも何回も取ってきたのに
一度もそんな疑いを持って
診察されてこなかったのに、
嫌な薬や漢方も飲み続けてきたのに
何やったんや?
治るどころか悪なってるやん。
そもそも誰もガンなんて…言てない。
みんな、肺はキレイですねって、
言うてたやんか?

妻がずっと疑い続けていた事が現実になり、
申し訳ない気持ちが湧いた。
そして、悔しくてしょうがなかった。

自分の中で
癌=死ぬ
…みたいな言葉を思っていたからだ。


『なにか…聞きたいことはありますか?』と、

先生から心配そうに声をかけていただいたが、

何も…なにを聞けばいい?

何が聞ける?

何がわからないかが……わからない。

横で妻が、顔を覗き込んで、

アイコンタクトで
質問してもいいか?みたいな顔をしてた。

いいよ、みたいに、頷いた。


妻『あの…今の段階で判断は
まだできないとは思いますが、
先生は、今の段階での先生の診断を
教えてもらえませんか?』

そう聞いていた。

あとから聞いたら
『向き合う相手(病)がわからないことほど
不安なことはないから、聞いた』
と、言っていた。

先生『そうですね…。…今の段階での診断は、
肺がんの可能性が高いと思っています。』

先生『でもね、まだわからないんです。
サイコイドーシスでも、
この様な結果は出ていますし、
さらに調べるまで、肺がんとは決まっていません。』

不安にならないように、
フォローの言葉をかけてくれているのがわかった。


9月28日に、
肺の組織の内視鏡検査で更に詳しく調べます。

と言われて、次回の予約をした。

家に帰り、
まずは聞いた事のないサルコイドーシスという病を、

Googleで検索。

難病指定で、
治らない病気、みたいな言葉が書いてあった。

聞いたことない病。

ガン…も怖い。
でもこれも…。

なんて2択だ。

こんな絶望的な2択、あるか?

肺癌なら、
ステージ1・2は手術で何とかなる。

ステージ3・4は
抗がん剤と放射線治療が代表的な治療方法になると
書いてあった。

肺がんなら…
ステージはどうだろうか?

どちらのがええんだ?

どちらのが………



その夜、
初めての造影剤は、副作用がひどく、

いつもの体の痛みにプラスして、
ひどい倦怠感が襲った。

造影剤って…こんなにキツイんかい…。

ぐったりして動けない身体。


不安ばかり渦巻く思考。



妻が、夜中に一人で泣いてた。

ごめん。

本当にごめん。

何で、聞かなかったんかな。

なんで、もっと早く行かなかったんかな。

ずっと言っててくれたのに。

まだ…

まだ子どもも小さいのに。

生まれたばっかりの子も、いるのに。


なんで…
なんでや。

ごめん。

ごめんな…。


泣かないで……。