小川 佐々木 細田 海野 武井 武藤

民生教育常任委員会メンバー・小山市議会議場で。

 

 

今日(24年8月20日)は、私が委員長を務める阿見町議会民生教育常任委員会の行政視察で、栃木県小山市を訪れて研修しました。民生教育常任委員会では任期中の2年間を前半と後半に分けて、テーマを設定し4半期ごとの進行管理で所管事務調査を行っています。

 

1年目の第2四半期は、学校給食費の全面無償化及び学校給食食材の有機農産物採用についてです。このテーマで、8月9日に県内の日立市、そして今回の栃木県小山市を視察しています。

 

小山市役所は3年前の令和3年に竣工した新しい庁舎です。市民の憩いスペース等もあり快適です。ただ、市民向けにも、職員向けにも食堂はありませんでした。売店(コンビニ)がありました。

 

市内の街路樹は、小山市の花である「思川桜」が植栽されていました、ソメイヨシノよりは1週間程度遅れて咲くようです。ソメイヨシノとは、葉も花も少し違う固有種です。

 

 

史跡「小山評定跡」です。栃木県在住の私の大学の先輩が「小山評定」(安田稔・文芸社)を出版しています。

 

 

小山市議会議場は、日立市議会と同様に簡素で機能的、バリアフリ―です。壁面には木材が張り付けてあり、まだ木の香りがしました。こんな感じで、委員長報告を行うようです。

 

小山議会会議室からの素晴らしい眺め。晴れた日には富士山、日光連山、秩父などが一望できます。下に見えるのは思川。この河川敷で、毎年15,000発の花火を打ち上げるということでした。

 

小山市は、首都圏から60キロメートル余り、面積171平方キロメートル、人口は16万6千人ほどで、栃木県内では県都・宇都宮市に次ぐ人口規模です。東北新幹線、東北本線(宇都宮線)、両毛線及び水戸線が東西南北に走り、市中央部には南北に国道4号、東西に国道50号、市東部に新4号国道が走るなど、交通網の結節点として周辺都市群の中心となっています。

 

また、隣接する茨城県結城市とはつながりが深く、伝統産業の「結城紬」の産地として姉妹都市にもなっています。

 

小山市は、農業、商工業のバランスが良く、広大な水田や畑が広がりラムサール条約湿地の渡良瀬遊水地につながる、コウノトリによって選ばれた田園環境都市としての特徴を強調しています。「オーガニックビレッジ」宣言都市として、生物多様性に配慮した持続可能な地域農業の発展と都市環境と田園環境の調和のとれた田園環境都市の実現に向けて、生産者から消費者が一体となった有機農産物等の生産拡大や学校給食への導入などに取組んでいます。その取り組みは、関東地方では千葉県いすみ市と並んで先進的です。

 

 

視察目的の、①「有機農業産地づくり推進の取組」では、「田園環境都市ビジョン」に基づいて、2012年に「ふゆみずたんぼ実験田」推進協議会設立、20年に「有機農業推進協議会の設立検討」、翌21年に設立、「みどりの食料システム戦略の策定」、23年に「オーガニックアンテナショップ・HARETARA」オープン、「オーガニックビレッジ宣言」24年に「飛躍的な拡大産地の創出採択」(スーパーオーガニック)など着々と体制を整備してきました。

 

現状は、有機栽培米に17農家が取組むなど、取組み当初の2012年と比較し生産農家は9人から17人へ、面積は4.4ヘクタールから22.3ヘクタール、生産高はほぼ5倍の規模に増加してます。米飯給食回数の現状は、令和5年度で10.8%、令和6年度目標でも21%にとどまり、令和10年度目標の50%を達成するためには、慣行(従来のコメ作り)農家の参入取り組みが必要となっているようです。

 

課題としては、①学校給食用有機米の保管、納品、②有機農業に取り組む農家の増加、JAの協力、③新規に有機農業に取り組む方々の窓口、などがあげられていました。特に、現在、新規に有機農業生産者に取組む方々への明確な窓口が決まっていないことを改善する必要があると説明していました。

 

また、有機栽培米については、NPO法人民間稲作研究所による技術指導や現地指導、年5回の研修への参加などがあるものの、野菜については指導体制が確立していないために生産者の自助努力に寄っているということでした。

 

視察目的の、②学校給食については、阿見町と調理場方式が大きく異なっています。阿見町は学校給食センターでの一括調理ですが、小山市は原則自校方式(自校単独方式が12校、自校親子方式が11校)で行われており調理場が23校にあります。食数は約14,000食で、阿見町(4,500食)の3倍程度となっています。小山市の地場産物使用状況(金額ベース)は、令和5年度で78.7%、国産食材では96.1%となっており栃木県内で第3位という上位にあるということでした。

 

有機食材を学校給食に使用することは、食育教育上きわめて有意義で、地域環境や持続可能なまちづくりを生産者農家や保護者を含めて考えさせるもので、徐々に理解が深まってきているようです。

 

小山市の給食費は栃木県内で一番安く、小学校年額46,200円、中学校年額50,600円。小山市では、地場農産物や米代の一部及び物価上昇分を市が補助しています。補助総額は、1億4,500万円で、市単独で給食費の全面無償化を行うためには、6億円から7億円の新たな財源が必要だということで、踏み切れていないということでした。

 

阿見町でも同様の課題があり、全面無償化に踏み切れていませんが、茨城県内ではすでに10の市町村で全面無償化に踏み切っており、あとはトップの決断だと思います。有意義な研修でした。