8月8日に行われた人事院勧告では、2024年度の国家公務員給与を引き上げるよう国会と内閣に勧告しました。初任給を2万円程度引き上げ、月給の引き上げ、期末・勤勉手当(ボーナス)を0.1ヶ月増の4.6ヶ月分にするプラス勧告でした。

 

人事院勧告は、各地の人事委員会が地方公務員の給与を改定する参考となるものです。大半の自治体では国に準じて給与が引き上げられる予定です。これは4月に遡って適用となるため、引き上げられると臨時のボーナスとなります。

 

さて、今回の人事院勧告では「地域手当」の区分も見直しされました。「地域手当」は民間の賃金水準の高い地域に勤める国家公務員の給与を割増すものです。

 

現状は、茨城県内では取手市とつくば市が2級地で最も高く16%、守谷市が3級地で15%、牛久市が4級地で12%、水戸市・日立市・土浦市・龍ケ崎市が5級地で10%、古河市、ひたちなか市、神栖市、つくばみらい市、利根町が6級地で6%、結城市、笠間市、鹿嶋市、那珂市、筑西市が7級地で3%となっています。ちなみに東京都特別区が1級地で20%で最も高くなっています。

 

地域手当の支給地域及び支給割合/県内(240831現行)

級地(支給割合)

都道府県

支給地域

1級地(20%)

東京都

特別区(23区)

2級地(16%)

茨城県

取手市、つくば市

3級地(15%)

茨城県

守谷市

4級地(12%)

茨城県

牛久市

5級地(10%)

茨城県

水戸市、日立市、土浦市、龍ケ崎市

6級地(6%)

茨城県

古河市、ひたちなか市、神栖市、つくばみらい市、利根町

7級地(3%)

茨城県

結城市、笠間市、鹿嶋市、那珂市、那珂市、筑西市

 

茨城県内にある44市町村の中で、地域手当が支給されるのは18市のみで、その他の26自治体は支給対象地域ではありません。本来、この制度は国家公務員にのみ適用されるものですが、当然のように市町村などの地方公務員職員にも条例で適用されています。しかし、一部自治体では支給割合が減額されています。

 

私は、この自治体の「地域手当」は廃止すべきだと主張しています。その理由は適用されていない自治体にとって職員採用、公定価格等に大きな影響を受けるからです。阿見町は県南地域にあり、周辺の自治体は大半が「地域手当」の支給地域となっています。つくば市との比較では16%もの格差があります。16%もの差があれば、志ある人材でも、給与の高い方に流れるのはやむを得ないのではないかと思われます。保育士も幼稚園教諭でも介護職員も、全てに影響を受けます。

 

では、阿見町でも条例を作って「地域手当」を支給すれば良いのではないかと思いますが、そうすると国から財政に余裕があるとみなされて、地方交付税の配分を減らされるという「イジメ」があり、首長も踏み切れません。ここが問題だと思います。阿見町は県内自治体の中では比較的財政力があります。地域手当が適用されている県内自治体では、阿見町よりも財政力指数が高い自治体は、つくば市・守谷市のみです。

 

今回の見直しは、都道府県単位にして茨城県は全市町村が5級地4%の支給地域になりました。阿見町も4%支給されることになりましたが、これまでの支給割合はそのまま支給されることになりましたので、格差は縮小したものの相変わらず大きな格差が放置されたままです。事前に情報として得ていたものとは少し異なりがっかりの見直しでした。私は、自治体は独自に手当の上乗せができるのですから、少なくとも近隣の土浦市・龍ケ崎市・牛久市と同程度に引き上げることが必要だと思います。トップの決断を求めたいと思います。

 

茨城県内の地域手当の支給地域及び支給割合

級地

(支級割合)

都道府県

都道府県の給地と異なる地域

1級地(20%)

 

東京都特別区

2級地(16%)

東京都

つくば市

3級地(12%)

神奈川県、大阪府

取手市、守谷市

4級地

(8%)

愛知県、京都府

水戸市、日立市、土浦市、龍ケ崎市、牛久市

5級地

(4%)

茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、静岡県、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、広島県、福岡県

 

 

人事院勧告63ページ、別表第8に詳細。

https://www.jinji.go.jp/content/000005211.pdf

 

(国支給と自治体支給を一部混同していたため240831一部修正しました)