佐々木委員 細田副委員長 海野 武井委員 武藤委員

 

 

8月9日(金)、私が委員長を務める民生教育常任委員会で日立市に行政視察に行ってきました。視察の調査項目は、1、給食無償化について、2、学用品の無償化について、の2項目です。

 

義務教育は無償化ですが、公立小中学校(私立学校でも)では小学校入学から中学校卒業までの間に、途切れなく費用負担が続きます。道具箱、工作板、粘土、ハサミ等の新入学児童学用品、上履き、体育館シューズ、体操着などの費用。給食費、PTA会費、校外学習、遠足、修学旅行、部活動などの費用が必要となってきます。

 

義務教育でありながら、小学校入学から中学校卒業までには、さまざまな費用負担が保護者には課せられます。その額は、小学校6年間で50万円内外、中学校3年間で42万円内外という統計があります。

 

義務教育無償化を実現した「根本正」は、私の同郷で尊敬する茨城県出身の政治家です。

 

 

日本国憲法26条は、「すべて国民は法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。②すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。」と定められています。

 

現在の日本社会は、所得格差が拡大し、子どもの貧困という深刻な社会問題を抱えています。その結果、経済的困窮のために当たり前の学校生活を当たり前にすることが出来ないという状況が生まれているのではないかと思われます。家庭で充分な食事を摂ることが出来ず、阿見町でも「子ども食堂」が7つもあります。

 

委員会としては、そうした問題意識を共有して、保護者の負担を軽減していくことが必要だという認識を持っています。そのために、阿見町の現状や先進自治体の調査、保護者の要望などを踏まえて、具体的な政策提言を行いたいと考えています。

 

 

日立市は市立かみね動物園にパンダを誘致しています。市役所入口にパンダのぬいぐるみがありました。ちょっと元気なさそうなのが気になりました。

 

 

 

日立市役所新庁舎は、2017年(平成29年)に供用開始されました。東日本大震災での教訓を生かして庁舎内に「防災センター」を設置し、ユニバーサルデザイン・省エネなどの最新設備を備えています。しかし、去年9月の記録的大雨で庁舎の一部が近くの2つの川の合流地点から水があふれ、小学校のプール26杯分の水が庁舎の地下に流れ込み受電設備と非常用発電機が水につかり、一時機能不全になるという思わぬ事態に遭遇しました。議場は、非常にフラットでコンパクト、明るく市民に開かれた議会というシンボリックな構造でした。

 

日立市の学校給食無償化及び学用品無償化は、人口減少を背景として「子どもたちの成長をまち全体で応援するため、妊娠・出産期から子どもの成長に合わせて、切れ目のないさまざまな支援」の一環だということです。

 

給食費無償化は、2018年(平成30年)度に月額500円の独自助成から始まり、2020年(令和2年)度から2022年(令和4年)度までは、新型コロナウイルス対応の地方創生臨時交付金を活用して断続的に無償化を実施、そして、2023年(令和5年)度からは恒常的無償化を実施しました。令和5年度の児童生徒数は1万525人。無償化に係る費用は約5億円で、財源の大半は「ふるさと寄附金(ふるさと納税)」を財源としています。ちなみに、令和5年度の日立市のふるさと寄附金は22億2293万円で、茨城県内では第4位となっています。

 

阿見町で考えてみると、児童生徒数は3735人ですので、給食費無償化に係る費用は1億4600万円程度だと思われます。また、阿見町のふるさと寄附金は1億3727万円となっています。

 

日立市で学校給食無償化を決断したのは、もちろん、市長だったということでした。トップが決断をして出来ないことはありません。市長の決断に敬意を表したいと思います。

 

なお、令和5年度における県内44自治体の給食費無償化の実施状況は、全額公費負担自治体が10市町(城里町、大子町、日立市、北茨城市、潮来市、神栖市、稲敷市、河内町、利根町、境町)、一部公費負担が34市町村(水戸市は中学生は無償化)です。