付さん エリザベスさん 柳沢さん 海野

 

今日は、その活動に深く共鳴するアムネスティ日本水戸グループが主催した「難民といっしょに入管問題を考えてみませんか?」という公開学習会が、水戸市内で開催されたので参加しました。

 

学習会は以下のようなスケジュールでした。

①エリザベスさんの紹介と体験談

②付 月(フウ・ユエ)茨城大学准教授の講演

③エリザベスさんの難民支援活動から見える現場

④エリザベを支援する市民グループのアピール

 

◯付 月(フウ・ユエ)は、筑波大学大学院で国際人権法やジェンダー問題、子どもの権利条約、移民・無国籍者などのマイノリティの人権等に関心を持って取組んでいます。

 

講演は国際条約や日本における難民認定の問題、難民保護の現状と課題、問題点について、多くの指摘がありました。

日本は「迫害のおそれ」の認定が、各国と比較して「非常に厳しい」あるいは「ズレている」国と言われています。日本の入管制度は、国連や他の機関から何度も国際法違反」だと非難を受けています。難民であるかどうかは、日本では司法ではなく、入管庁(出入国在留管理庁)が独自に判断しており、正当性が疑われるケースがあります。難民と認められず入国資格無しと判断されると、施設に強制的に収容されてしまいます。収容日数の制限が設けられていないため、何年間も自由を奪われている人が多数います。収容所を出るためには自国へ帰らなければいけませんが、帰国には迫害や殺害の恐れや、日本に生活の基盤があるなどの理由から、自国への帰還が難しい人が大勢います。不当な長期収容から心の病を抱えている人が多く、自殺も報告されています。

 

短い期間だけ外で生活できる「仮放免」という制度がありますが、労働が認められず、他県への移動は前もって申請が必要です。健康保険証もなく、仮放免で外に出られても、困難な生活を送らざるを得ません。非人道的措置だという指摘がある。

 

 

 

◯エリザベスさん「オブエザ・エリザベス・アルオリウォ」

 

今回、自らも難民申請中にも関わらず、難民支援活動を続けているエリザベスさんは、1967年ナイジェリア南東部のビアフラに生まれました。アフリカに残る伝統的慣習のFGM(女性性器切除)を逃れて14歳で家を離れ、ナイジェリア国内を転々とした後、1991年に観光ビザで24歳の時に入国し、そのまま働き始めました。道路工事の仕事をしていましたが、誰からも何も言われなかったということでした。

 

しかし、自らビザを申請することによって不法滞在で拘束、2011年1月、品川の入管施設に収容されました。待遇改善等への要求や国際機関への訴えなど活動的だったため、その後、牛久入管施設に移動させられました。日本に来て以来、ルールを守り生活してきたのに、犯罪者のように取り扱われることに憤りを感じたということです。その後、仮放免が認められましたが、保証金30万円(上限は300万円だということ)をキリスト教会や知り合いの支援により、外に出ることが出来た。現在、「人道的配慮に基づく在留特別許可」申請中ですが、許可されていません。

 

1998年頃から入所者への面会を始めたということです。それは、エリザベスさんが来日以来、通っていたキリスト教会で同じ信者が、不法入国で逮捕されたり方に誰も面会に行かないことから面会活動を始めたことから始まったようです。もともとエリザベスさんは、困難に至った方々を救う、支援する、助けるということ、人間に対する強い共感を持っている人だなあという印象を受けました。きっと、日本社会に受け入れる価値のある人物だと思いました。

 

2023年出入国管理法が改正され、2024年6月から施行されました。批判の強い難民認定申請中の長期収容を改善するために、仮放免を進めるために「監理人」制度が導入されました。監理人が、仮放免者の生活状況を出入国在留管理庁に報告することになっていますが、監理人の成り手がいないという問題があるようです。

 

2019年に多田謡子反権力人権賞、2021年に日本平和学会平和賞を受賞している。エリザベスさんの「人道配慮に基づく在留特別許可」を与えるよう求める署名が法務大臣と出入国在留管理庁長官に提出されています。また、エリザベスさんが暮らす茨城県牛久市議会では「請願」が賛成多数で可決され、地方自治法に基づく「意見書」が法務省と出入国在留管理庁に提出されています。

 

※ビアフラ戦争

エリザベスさんが生まれたナイジェリアは、1967年から1970年にかけて内戦が勃発しました。東部州のイボ族が分離独立を宣言した後、独立を認めない政府軍との内戦状態に陥り、多数の戦死者や餓死者を出した末、鎮圧されたもの。40年前に終結しましたが、いまだに、内戦について触れてはいけない状況だと言われています。

 

 

◯柳沢由美子さんは、翻訳家が本業。アリス・ウオーカーが著した「カラーパープルという本を翻訳した。北京で開催された第4回世界女性会議。アルクワーク。女性性器切除が本当だったということを確認した。その後、女性性器切除廃絶運動を始めた。正確に言えば、アフリカで女性性器切除運動を行なっている団体を支援している。

NHKで放送された「エリザベス・この世界に愛を・・・」を見て、エリザベスのことを知り直ぐに会いに行った。笠間市という同じ茨城県内の牛久市に住んでいるという縁で、エリザベスと対話した。2012年に1回目、2016年に2度目の難民申請を出したが、一向に許可が下りていなかった。その後、エリザベスを担当した弁護士から難民申請を出し続けながら、「在留特別許可」という方法でエリザベスを日本社会に迎え入れようと、2023年5月「With Elizabeth」として署名運動を始めた。38,000筆余りの署名を、法務大臣と出入国在留管理庁長官へ提出した。その後、牛久市駅前等で署名運動、牛久市議会に請願を提出、賛成多数で意見書を提出されています。現在、エリザベスの紹介ビデオを作成中、仮称「私たちの隣のエリザベスさん」。エリザベスさんは、牛久市内に民間のアパートに普通に暮らしている。

 

日本は、年間4千人単位で難民申請がありますが、数十人程度しか許可をしていません。ロシアによるウクライナ侵略以降に変化が生まれ、七百人程度の受入がなされています。これから日本は、もっと外国人に門戸を開いて国際化してほしいと思っている。

 

真ん中が佐宗さん

 

今日の司会をしたのはアムネスティ日本・水戸グループの佐宗さん。佐宗さんと私は古くからの知り合いです。佐宗さんは、2003年の旧笠間市議選挙で当選。私が旧那珂町議会議員の時に同時期に笠間市議会議員を務めました。本職は染織家で繊細で鮮やかな作品を創造し続けています。私自身はその後、アムネスティの活動とは疎遠になってしまいましたが、佐宗さんは継続的に水戸グループで中心的に活動しています。