今日は、土浦市にある茨城県霞ヶ浦環境科学センターで霞ヶ浦水質調査研究会総会と代表の沼澤篤先生の講演会「プランクトンの役割」があり参加してきました。

 

沼澤篤さんは、霞ヶ浦市民協会研究顧問、霞ヶ浦水質調査研究会代表、元茨城大学特任教授、理学博士。現在も霞ヶ浦に向き合って研究調査を継続しています。以下に、講演会及び総会の概要についてのメモを書き込みました。

 

 

 

 

霞ヶ浦水質調査研究会としても、もう20年以上の調査活動を続けている。こうした長い調査活動を通じて霞ヶ浦の水質をトレンド的に把握することができる貴重で重要な活動だと思われる。

 

水の中で漂って生きている生き物がプランクトンと呼ばれている。ウミガメやマンボウなどもそのような動作をする生物。魚たちは遊泳生物、底に生きているシジミ等は底生生物、ヨシやアシなどの茎等に付着して生きている生物もいる。生態系と呼ばれているのはギリシャ語でオイコスが語源で、エコシステムと言われている。

 

 

 

 

プランクトンネットで3メートルの深度で5メートル正確に引くと、多くのプランクトンがネットに集まってくる。このプランクトンをメダカの水槽に入れてやると美味しそうにパクパクと食べます。写真は、今朝、ラスクマリーナで引き上げたプランクトンで、たくさんのプランクトンが活発に集まって動いている。

 

ワムシ類はワカサギが大好物で、ワムシが減少するとワカサギも減少することになります。ワカサギは冷水域に進化した魚で暑さに弱く、水温が27℃以上になると大人のワカサギも生けて行けなくなります。霞ヶ浦は震度が浅く、水温の上昇は湖水全体が影響を受けている。

 

霞ヶ浦は、堤防が整備されて砂地の場所も少なくなっている、ワカサギの産卵とその後の孵化に大きな影響を受けていると思われます。当然、霞ヶ浦で漁業で生計を立てていた漁業者も、細々としてものとなっている。

 

ミジンコ類は、メスが多く背中に卵を背負っておりメスだけで増えることができる生き物となっています。オスは秋になって交尾をし ますが、圧倒的にメスが多い生き物で不思議な生態です。また、ミジンコは目がひとつですが、複眼となっており光を感じている。

 

霞ヶ浦の透明度は1・5メートルほどあり、沿岸では天王崎などの遊泳場がたくさんありました。沿岸の市町村には、学校プールがない時代が続いていたということです。現在では、霞ヶ浦環境再生のキャッチコピーは、「泳げる霞ヶ浦」というもので、当初は霞ヶ浦市民協会のスローガンでしたが今では茨城県も採用していただき関係者の共通のスローガンとなっている。

 

植物プランクトンの話に戻すと、霞ヶ浦全体で8・5億トンの水量がありますが、プランクトンの数は膨大なものがあり水中に漂っている。アオコの正体は植物プランクトンですが、吹き溜まると死滅し、この死体から臭気を発生させる。霞ヶ浦全体では、植物プランクトンは約1億トンあり、何千トンいる動物プランクトンの餌となり、動物プランクトンは小魚(数百トン)の餌となる。その小魚(ワカサギ等)を漁業者によって漁獲され、われわれが食べることになる。しかし、近年ではワカサギの漁獲量は最盛期で千トンを超えていましたが、現在は百トン以下で、ここ2年ではほとんど取れない状況だ。

 

アオコは怖いこともある。アオコには、発がん性の物質が含まれており、アオコの発生した湖水を家畜や野生生物が飲むことにより、生体濃縮されるということがありますが、当時の環境を心配する方々の中では、アオコを発生させない水質を目指していた。しかし、アオコの発生しない状態になったからといって安心できるということではなく、化学物質の状況も関心を持って調査を継続する必要がある。

 

植物プランクトンでは、ケイソウ(珪藻)類、ランソウ類、ベンモウソウ類などが、時期をずらして発生してきます。しかし、研究者はもう少し違うことに関心を持つ方々もおり、継続的に水質調査をやって分析し、一般の市民に分かりやすく報告するというこの研究会の意義は引き続いてあると思う。

 

ユーグレナ(ミドリムシ)は、ベン毛を持って動き回ることができるので、これに注目して栄養食品として利用している企業がある。

 

総括的には、豊かな生態系の恵みを有した素晴らしい湖でしたが、現況の霞ヶ浦は生態系的には危機的状況にあるということができる。

 

質問の機会があり、私からは、

「霞ヶ浦は、上水道の水源となり、下水道の排出先にもなっている。茨城県や沿岸自治体も高高度処理をする浄化槽・下水道処理場、農業集落排水事業も高い普及をして、それなりに対策を打っていると思われるが、そうした努力の成果はどの程度出ているのか」

「豊かな生態系を有する霞ヶ浦を再生するためには、具体的にどのような行動をすれば良いのか」

というようなことをお聞きしました。

 

沼澤先生からは、行政や市民の努力を認めつつ、

「霞ヶ浦は、沿岸に農業の大生産地、日本一の生産量を誇るレンコン産地、コイの養殖場等、沿岸の生業と切り離すことのできない湖なので水質改善がなかなか進まない。現状の劇的な改善策は見当たらない、関係者が引き続いて関心を持って行動をする以外には難しい」

「また、自治体の決断が必要だが、遊泳場として基準を満たしている浮島や天王崎を再開して市民に広く関心を持ってもらうようなことも一案だ」

ということも話されていました。

 

非常に有意義な会合でした。私も今回から会員になってご協力させていただきました。特に、水質調査で霞ヶ浦湖水から沿岸自治体を眺めるという非日常的なきわめて貴重な体験をすることができるのは何よりも代え難いものです。どうぞ、皆様も会員となって水質調査と、資金的にもこの研究会を支えていただけることをお願いしたいと思います。

 

 

霞ヶ浦水質調査研究会

〒300-0051 土浦市真鍋2-8-24 MCL38-102

代表 沼澤 篤 (090-6154-0137)

pcomlake@gmail.com

郵便振替 霞ヶ浦水質調査研究会

口座 00180-5-358228

会費は5,000円