能登半島地震の破壊力はすさまじいものだった。現在のところ、北陸電力志賀原発には「安全上重大な影響はなかった」という発表で、大きな事故が起きたという発表はない。しかし、北陸電力は火災発生という発表をいったん行いながら、その後、現場の作業員の誤認だったと言って取り消したり、オイル漏れの量を過少に発表したり地震の影響がどのようなものだったか判明しない。

 

現場が混乱しているのか、それとも志賀原発に起きた事象の全体像がいまだ掌握できていないか、非常に気になるところだ。その後の地震においても、一部機器の損傷が続いている。

AERAは、元経済産業省官僚の古賀茂明氏が「能登半島地震で露呈した原発の「不都合な真実」・政府が志賀原発を“異常なし”と強弁した理由」という記事を2週連続して掲載している。

https://dot.asahi.com/articles/-/210770

 

https://dot.asahi.com/articles/-/211236

 

この件では、鳩山由紀夫元首相がSNSで、志賀原発の火災発生・オイル漏れについて言及し、ネットでは原発推進勢力から批判を受けた。息子で次期衆議院議員選挙に国民民主党から出馬が予想される息子の鳩山紀一郎氏も、父親のSNS投稿に削除を求めたと報道されている。しかし、その後の推移を見れば、どちらが正しいかは自明だろう。

鳩山由紀夫元首相の志賀原発への疑念、懸念は当然なのである。そもそも志賀原発では、直下に活断層の存在が議論となっていた。今回の能登半島地震は150キロに及ぶ活断層がずれ動いて起きたとの見方が強まり、未知の断層と連動した可能性も指摘されている。震源近くでは地盤の隆起が確認され、志賀原発でも海側にある物揚場の舗装部が沈下し、最大35センチの段差が生じた。35センチの段差が生じて構内に巡らされている配管に異常がないはずがないと思われる。

志賀原発の影響下にある地域の地震避難民が救助もままならない状況で、いまなお孤立している。原発災害の際の避難計画は、各自治体が策定することになっている。志賀原発が立地している「志賀町原子力災害避難計画」が、いかに現実離れした、実際の事故時には全く役に立たない計画であることを示している。確かに、古賀茂明の言うように「今回の地震を見れば、この計画が全く役に立たないことがよくわかるだろう。ほとんど笑い話のようだが、笑い事ではすまない。ことは多数の人命に関わる問題なのだ。」ということだ。

そこで、日本原電東海第二発電所(東海第二原発)に関わる「広域避難計画」を改めて考えざるを得ない。立地自治体の東海村では、昨年の12月23日「原子力災害に備えた東海村住民避難計画」を策定したとホームページに掲載した。東海村議会では、東海第二原発の再稼働に慎重な請願を不採択、再稼働を求める請願を採択している。東海村議会は1月21日投開票で選挙が行われる。改めて村民の意思を問うことになる。

いったん事故が起これば、東海村民のほぼ全員が村外に避難するという想定だ。避難民は県南の自治体が引き受ける。避難する自治体議会は、ほぼすべてが再稼働に反対決議をしている。村民有権者には、賢明な選択が行われることを期待したい。