阿見町内の田は、来年の田植えに備えて圃場を鋤き込み、土壌に水分と空気を入れて微生物が活発に動けるようにしています。しかし、所々には刈り取りした後そのままになっている圃場もあります。

 

 

8月末ごろから9月にかけて刈り取りした稲は、その後、「ひこばえ」(二番穂)が出穂して結構大きく育っています。二番穂とはその名の通り2回目の稲穂のことで、稲刈り後の株から再び成長して出穂した穂のことです。1回目に収穫した穂 (一番穂)に比べると収穫量や品質は大きく劣ると言われています。 そのため、二番穂が食用として用いられるケースはあまりないようです。

 

ところが、10月23日付けの茨城新聞に、注目する記事が掲載されていました。つくば市にある農業・食品産業技術総合研究機構が、「稲刈り後の株から伸びた稲を再び刈る「再生二期作」技術を開発したというものでした。田植え1回で収穫量が2倍となることを試験で確認したということです。食味も1回目と2回目で大差なかったということでした。試験品種は、高温に強く倒れにくい「にじのきらめき」が使用され、関東以西の温暖な地域で茨城県南部でも適用できるということで、「農家の要望があれば試験をしたい」と話しているということです。

(研究成果)温暖化条件下で威力を発揮する 水稲の再生能力を活かした米の飛躍的多収生産 | プレスリリース・広報 (naro.go.jp)

 

茨城県議時代に知遇を得た、元茨城大学理学部教授で生態や環境の専門家の堀良通先生の10月20日付けのFBの写真に写り込んでいた風景に「二番穂」がありお尋ねしたところ、以下のようなコメントをいただきました。

 

「二番穂です。昔は穂を刈り取って食べましたが、現在は放置し野鳥などの野生動物の良い食べ物になっていると思います。まさに野生動物への“落穂拾い”ですね。将来の食糧不足に対して再生二期作は有効な方法だと思います。ただし、普及に対しては厳密なコスト計算が必要でしょうね。また、米の消費量を増やすことが最も大事だと思います・・・」

 

私も、二番穂は野鳥や野生動物への贈り物だと思っていました。人間だけが食い尽くしていいのかという思いはありますね。