多数を持って議会をダメにしてはいけない/沼津市議会懲戒処分
正月気分も吹き飛ぶように新型コロナウイルス感染症第6波の襲来です。私自身も正月気分が抜けずにおりましたが、地方議会をめぐる各地の動きを見ていると、議会での活発な議論を許さないような多数派の横暴と思えるようなことが起きることがあります。
今日(1月7日)のテレビ静岡で放送された、静岡県沼津市議会一般質問の発言をめぐって行われた「懲戒処分」問題は、他自治体の議会とはいえ看過できないものです。放送内容は、静岡県内の地方議員3名が連名で、沼津市議会に対して抗議文を提出したというものでした。
懲戒処分に至る経緯は、静岡新聞の昨年の12月14日付けの記事を以下に貼り付けておきました。
「
山下富美子氏を戒告 沼津市議会 2021.12.14
沼津市議会は13日、山下富美子市議(未来の風)に対する懲罰動議を審議する懲罰特別委員会を開き、戒告処分とすべきと賛成多数で決めた。
戒告は4段階ある懲戒処分の中で最も軽い。17日の11月定例会最終本会議で、浅原和美議長が山下氏に起立を求め、委員会の結論を読み上げる。
委員会は全面公開で行われた。冒頭、山下氏は「懲戒の根拠が不明確」などと批判した。
山下氏の第一と第二校区統合問題に対する一般質問の一部が問題視され、22人の市議から懲罰動議が発議された。
」
今日のテレビ静岡の内容は以下のようなものでした。
「
「発言の自由失われるきっかけに」 沼津市議の戒告処分に静岡県内の市議が抗議(1/7(金) 19:18配信)
静岡県沼津市の市議への戒告処分に対し抗議文の提出です。
沼津市議会の山下富美子議員は、不適切な発言をしたとして去年12月に戒告処分を受けました。
この処分について県内の市議3人が「発言をことさらに曲解した不当な処分」だとして議会事務局に抗議文を提出しました。
静岡市議会・松谷清議員は、「発言する自由が今回の懲罰という形で失われていくきっかけになるのではないか、その点をすごく恐れるわけです」
」
懲戒処分を受けた山下富美子議員の昨年12月7日の一般質問は以下のような項目で行われています。
1 第一・第二中学校区の学校統合の一連の動きと取組について
(1)統合方針廃止の要因と責任の所在
(2)統合プロセスにおける課題等
(3)方針決定から廃止に至るまでの一連の動き
(4)市長に存する責任性への認識
(5)今後の取組
山下富美子議員の約50分の一般質問を2回聞かせていただきましたが、私には、まったく普通の一般質問で、質問態度・言葉遣いも問題なく、問題課題をしっかりと把握し、市民の声もくみ上げ、資料を読み込んだ上で準備して行った優れた一般質問だったと思われました。
これが、言論の府である議会の懲戒対象となるなら、もはや沼津市議会で市政上の重要問題を議論する基盤は失われているのではないかと思えるほどです。その後の議会での懲戒動議、弁明、賛成討論を聞いても、良く分からなかったというのが正直なところです。
一般市民で、懲戒相当だと感じた方々は圧倒的少数だったのではないかと思われます。どのような意図があって懲戒処分が可決されたのか不思議な感じです。こうした発言が、懲戒処分相当となるとすれば、私の議会での一般質問は何回処分されたか分からないくらいです。たとえ法律の解釈の相違や適用の誤りなどがあったとしても、発言の訂正で充分ではないかと思うのです。
そのことと直接関係はないものと思われますが、沼津市では、昨年の11月に職場でのパワーハラスメントを事由とした課長級職員の懲戒処分が行われています。
https://www.city.numazu.shizuoka.jp/shisei/office/fushoujiboushi/20211119_2.htm
議員は選良と言われ、市民の常識と良識を持って、熟議を重ねて、団体意思をつくって行きます。しかし、時として議会は暴走することがあります。議会が、少人数の秩序閉塞空間とならないような工夫が必要になります。多数を持って議会をダメにしてはいけないと思います。
山下富美子沼津市議会議員
懲戒処分をめぐる山下議員のブログ
https://yamashita.fm/blog/category/31/