大谷明ひたちなか市長と/広域避難計画やコロナ対策などで懇談

 

左端・海野隆 中央・大谷明ひたちなか市長

 

先日、大谷明ひたちなか市長を市長室にお訪ねして、日本原電東海第二発電所の広域避難計画やコロナ対策等で懇談しました。阿見町は、ひたちなか市から市民約7千人を受け入れることになっています。

 

平成30年3月29日、土浦市役所において、阿見町も含む茨城県内の14市町村と「原子力災害におけるひたちなか市民の県内広域避難に関する協定」の締結式が開催されています。

 

しかし、その後、計画に基づく協議は実質的に全く行われないままに、3月に水戸地方裁判所が原子炉再稼働を認めない判決を言い渡しました。

 

水戸地方裁判所は、3月18日、日本原子力発電株式会社に対し、東海第二発電所の原子炉を運転しないよう命じる判決を言い渡しました。福島第一原子力発電所事故後、避難計画の不備という問題を正面から取り上げて原発の運転差止めを命じた事例は初めてであり、他の原発の安全性を検討する上でも重要な判決と評価されています。

 

判決は、新規制基準が避難計画を含まないことそのものが不合理だとはしなかったものの、IAEAが示した深層防護の第5の防護レベルである「重大事故時における避難等の被害緩和策」が原子炉施設の安全にとって不可欠だとして、それが達成されているか否かを検討した結果、1,全面緊急事態の際に東海第二原発から概ね30km圏内の住民94万人余が無秩序に避難した場合、住民が短時間で避難するのが困難であることは明らかであること、2,同圏内の自治体において、原子力災害対策指針の定める段階的避難等の防護措置が実現可能な避難計画及びこれを実行し得る体制が整えられているとは言えない、という二つの点から原発の運転差止めを認めたものです。

 

茨城県では、平成27年3月に策定、平成31年3月に改定した、日本原電東海第二発電所で、重大な原子力災害が発生、または発生するおそれがある場合に備え「茨城県広域避難計画」を策定しています。それに基づいて平成30年3月29日、土浦市役所において、阿見町も含む茨城県内の14市町村と「原子力災害におけるひたちなか市民の県内広域避難に関する協定」の締結式が開催されています。

 

ところが、今年初めから毎日新聞は(2021年1月、毎日新聞「ずさん算定・避難所不足」)、広域避難計画の施設面積と避難人数に大きな算定ミスがあることを連続して報道しています。この連載は、県内外の避難先自治体へ直接調査票を送付して取材したもので、その結果判明した課題を報道したものです。毎日新聞の独自取材で他の新聞を読んでいる方々にはまったく伝わらない「スクープ」です。

 

毎日新聞 2021/4/5 09:01(最終更新 4/5 09:22

連携不足は私立高校をめぐっても起きていた。同県ひたちなか市が避難先として計画している霞ケ浦高校(同県阿見町)は、取材に「原発事故の避難所になっているという認識はなかった。町から要請があれば考えないといけない」。阿見町も「(霞ケ浦高に)はっきりと話したことがない。話した方がいいと考えているが、ひたちなか市との調整や広域避難に関する話がそこまで進んでいない」と釈明。町は取材後、霞ケ浦高に伝えたという。

 

この毎日報道では、阿見町の霞ヶ浦高校の件も出て来ますが、議会としては、当然、避難施設とした霞ヶ浦高校との協議を経たうえでのことであると認識していましたので、驚きでした。

 

阿見町の対応も驚きですが、茨城県の対応は驚きを通り越しています。何度も言いますが、県議会も役目を果たせていない。全く期待外れです。こうした現実を見れば、水戸地裁判決はきわめてまともで、市民感覚に沿ったものであることが分かります。

 

広域避難計画が絵空事にならないよう、阿見町としては避難受入計画を作成する準備を、もう何年も前から整えています。