東海第二原発の避難計画

― 阿見町同僚議員の一般質問 ―
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日本原子力発電東海第二原発(毎日新聞)
 
「日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)は26日、新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に正式合格しました。残された工事計画と運転延長の両審査もほぼ終わっており、運転開始から40年を迎える11月までに認可される見通しだ」と報道されています。(毎日新聞9月27日)
 
こうした動きに対して、
「ひたちなか市の本間源基市長は「周辺地域の人口や産業集積の状況、事故発生の際の甚大な影響などを総合的に勘案し、極めて慎重に判断すべきだ。責任ある対応をしたい」とした。また那珂市の海野徹市長も、原子力規制委員会の田中俊一前委員長の「(合格しても)絶対に安全だとは言わない」との発言に触れたうえで、「首長の責務は市民のいのちを守ること。責務を履行するため全力で対応したい」と、再稼働への慎重姿勢をにじませた。」(毎日新聞9月27日)
 
阿見町議会同僚議員の一般質問で、東海第二原発の避難計画に関わる重要な質疑がありましたので、ご紹介します。この質疑は、共産党の永井義一議員と防災の専門家である危機管理監とのものです。
 
阿見町は平成29年8月に、防災・危機管理に関する専門的な知識と豊富な実務経験を有する自衛官OBを災害時に即応できる組織体制を強化する目的で、危機管理監を採用しました。国民保護、自然災害への対応などの職務に当たります。阿見町の危機管理監は、防災訓練の企画・立案・実施や職員の人材育成、防災関係機関との調整など、重要な役割を果たしています。
 
永井議員は、「東海第二原発の避難計画について、阿見町はひたちなか市民を受け入れる自治体となっていますが、その具体的な対応について」質問しました。
 
町長は、「阿見町は、ひたちなか市の青葉石川・東大島・勝田駅前南・東石川1丁目、この4つの各自治会の市民約7千人を受け入れることになっており、3月29日に広域避難に関する協定を、阿見町を含む県内14市町村と締結した」と答弁しました。
 
危機管理監は、「阿見町としては広域避難受入れマニュアル等の整備を進め、避難受入計画の策定を進める。現在の受入計画は県の基準に基づいて作成が進められている。避難者1人当たり2平方メートルの生活空間を確保するというのが基本だ。町では学校や公民館、コミュニティセンターなど18か所の施設で受け入れるという計画になっている」と答弁しました。
 
永井議員は、「災害や紛争などの被災者すべてに対する人道支援活動を行う各種機関や個人が、被災当事者であるという意識をもって現場で守るべき最低基準であるスフィア基準がある。スフィア基準は、アフリカ・ルワンダの難民キャンプで多くの人が亡くなったことを受けて、国際赤十字などが20年前に作ったものだ。たとえば、居住空間については1人あたりのスペースは、最低3.5平方メートル確保、トイレについては20人に1つの割合で設置、男性と女性の割合は1対3、必要ではないのか」と質問しました。
 
危機管理監は、「原発事故時の避難は、長期にわたる可能性が高いと考えられる。2平方メートルという居住空間は狭すぎる。阿見町としては最低でも3.3平方メートルを確保できるように見直している」と答弁しました。
 
3.3平方メートルと言えば1坪、畳2枚分のスペースですが、避難所の生活の質ということを考えれば、避難者に誠実で責任を持った対応だと思います。
 
私も議会で何度も、この「避難受入計画」を策定すべきだと提言してきましたが、今日の一般質問でやっと現実的な計画を策定するということに歩み出したと高く評価したいと思います。
 
しかし、東電福島第一原発事故時の風向を考慮すれば、阿見町が避難対象地域になる可能性もあり、また、地震等で避難施設が損傷しているといいうことも考えなければならないということになります。
 
阿見町の危機管理監は、自衛隊での災害救助や避難所設置、避難所生活での豊かな知見があり、スフィア基準に照らした答弁ができたのではないかと思われます。県内での避難住民受入自治体は、計画を見直す必要がありそうです。
 
きわめて重要な質疑だったと思います。