原状回復されない無許可盛り土の山
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盛り土ではなく「山」となっている現場
 
先日、大形地区の山林を伐採したところに積み上げられた「無許可盛り土」の現状を見てほしいという連絡があり、同僚議員といっしょに見てきました。この盛り土現場は写真を見ていただければ分かるとおり、「盛り土」というよりは、ひとつの「山」のようにうず高く積み上げられています。
 
この無許可盛り土の山は、平成23年6月及び8月に阿見町長及び茨城県県南県民センターが連名で行った「撤去指示」に従わなかったことから、平成24年1月6日に茨城県条例(茨城県土砂等による土地の埋め立て等の規制に関する条例-平成15年制定)違反及び阿見町条例(阿見町土砂等による土地の埋め立て、盛土及びたい積の規制に関する条例-平成4年制定)違反で牛久署に告発したのを受けて、平成24年1月25日に経営者が逮捕され、条例上限の罰金が科せられたという経過のあるものです。新聞各紙で大きく報道されています。
 
阿見町長及び茨城県県南県民センターが連名で行った「撤去指示」は、平成23年12月末までに、盛り土をすべて撤去するよう求めていました。大形地区の住民によれば、「本当に撤去が実行されるのか半信半疑」だったようですが、やはり撤去は実行されず今日に至るまで、相変わらず残土の山はそのまま積み上げられたままです。
 
この盛り土の山は、当初、町内の土木建築解体業者が山林所有者から借地をして森林伐採の上資材置き場にしようと計画したものだと言われています。ところが地区住民の反対にあい断念し、現在の業者が山林所有者と再契約をする形で引き継ぎ、無許可で建設残土を埋め立て堆積していったものです。
 
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 地区住民の申し立てがあり、また平成22年の初め頃には土地所有者も相談に訪れているようですが、残念ながら県では県条例が面積要件(5,000平方メートル以上)に該当しないことから動かず、町も平成4年に条例を制定しながら有効な指導も指示もできませんでした。やっと平成24年度から不法投棄に対応できる警察OBを廃棄物対策管理官として置きました。新たな発生事案はないということですが、すでに埋め立て堆積された残土を撤去させることは簡単ではないようです。
 

 

今回、現場を見て地元地区住民、阿見町及び県南県民センターで対応にあたっている関係者の方々に話をお聞きしましたが、この無許可残土の撤去を実現するためにどのような手段があるのか、相当な知恵を絞らなければなりません。
 
現在行政では、①経営者及び法人の逮捕・罰金を科したことで条例違反に対する社会的制裁を行ったこと、②新たな残土持ち込みを許さないよう監視を行い厳しく指導している、③残土の撤去に向けて指導を続けている、という対応を取っているようです。また、今後の対応については、残土に囲まれた樹木が枯れていることなどから、①年度内に周辺住民の不安対策として「土壌検査」をおこなうことを準備している、ということでした。
 
平成13年に廃棄物行政に絡み栃木県鹿沼市の職員が帰宅中に拉致され、殺害された事件がありました。鹿沼市と産業廃棄物処理業者との癒着を正そうとした職員が逆恨みされ殺された事件です。実行犯4人は逮捕されましたが、犯行を依頼した産業廃棄物業者は、逮捕される前に自殺してしまいました。また、癒着に深く関わっていたと思われる鹿沼市幹部職員も自殺し真相は闇の中に消えました。この事件は、行政対象暴力が社会的に注目されるようになったきっかけと言われる事件です。こうした事件が、直接業者と接触する職員の脳裏をかすめたとしても不思議ではありません。
 
行政はもちろんですが、警察及び議会も、地元地区住民も、土地所有者も、隣接土地所有者も、問題解決に力を合わせて対応することが極めて大事だと改めて感じています。不法投棄は初期対応がきわめて重要です。町内にはすでに多くの無許可埋め立て、不法残土持ち込みが行われてしまっています。今回の件は、「対応を検討しながら、結局何もしなかった」というお役所対応の典型的なパターンだったと言わざるを得ず、職員の一般的な行動パターンが「問題の先送り」になっていることが根本的な問題だったと思われます。町には顧問弁護士もおり、どのようなアドバイスを受けながら対応して来たのか、あるいはアドバイスを受けることができなかったのか、大きな疑問が残ります。