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八ツ場ダムは賛否が分かれている。点線から下が水没する。(国土交通省ダム事務所)

それでは、昨日に続いて第2回目をお送りします。

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その2

私には、この直轄事業負担金については苦い思い出があります。県議会議員在職中の平成13年(2001年)6月の議会に、八ツ場ダムの基本計画の変更に対して茨城県知事が同意する意見書(第106号議案)について論議をした時のことです。「八ツ場ダムの建設に関する基本計画」は昭和61年に国が策定し、当時の見込み額は約2110億円と定められました。

その後、2001年9月に第1回の変更で工期が平成22年度までに延長され2004年9月に第2回目の変更が国から示され建設費が約4600臆円に変更になりました。それに伴い当然、茨城県の負担金は2倍以上に増額されたということになります。第1回の変更時に県議会在任中でした。

古い話ですが、当時の私の「県議会報告メールマガジン」には以下のように記載していました。
http://www5.ocn.ne.jp/~umino/katudo2001-2.htm


 

●2001年6月6日 県議会本会議・提出条例案会派説明会/県議会

群馬県の利根川上流吾妻川に国土交通省が建設している八ツ場(やんば)ダムがある。目的は、洪水調整と新規都市用水の確保で、総貯水量約一億立米、総事業費2110億円で、現在国・県道やJRの付替工事、代替地の造成工事などを行っており、事業費ベースで約53%の進捗率となっている。

 

補償基準の合意が5月にあり、6月14日には妥結調印式という予定である。本体工事はこれからである。このダムは、1952年(昭和27年)に予備調査に着手、1967年(昭和42年)に実施計画調査を開始した半世紀、50年越しの計画である。

八ッ場ダム工事事務所のホームページに経緯が詳しいが、1953年(昭和28年-なんと私が生まれた年だ)には吾妻川上流から酸性水が流出することが分かり計画は一時中断したが、1964年に草津町に酸性水を中和する工場が完成し建設問題が再燃した。どうしても都市用水を確保したい建設省が、それ以降、町・議会・地元地権者の反対を押し切って、計画をあきらめず進めてきたといってよいダム計画だ。

工期は1967年(昭和42年)~2000年(平成12年)度までの33年間だったが、これを10年間延長しようとすることについて、特定多目的ダム法の4条に手続きが定められており、大臣は基本計画設定関係者から意見を聞かなければならず、関係都道府県知事は当該議会の議決を経て意見を述べるとされている。茨城県知事の意見は、「同意」である。

水没世帯340、人口1170人の犠牲に成り立つダムなのだが、茨城県は水道用水として毎秒約1トンの配分を受ける。その負担金は258億円である。茨城県は、現在新しい「水のマスタープラン」を計画中である。県総合計画の改定が行われ、特に人口予測の大幅な減少によって、上水道・下水道・道路・工業団地・住宅団地など各種の計画が変更を迫られており、事業計画も大きな見直しが避けられない状況だ。改訂水のマスタープランの2020年までの水需給バランス推計表によれば、都市用水は合計で毎秒5.2トン余るという予測である。

唯一、利根水系で0.9トン不足するという予測だが、これもなお、人口推計や1人当たりの水需要が過大になっている結果と思われるのである。利根水系では特に工業用水の余剰が大きい。工業用水と水道用水の調整を行えば、あり余る水量が確保できているというべきではないか。「同意」ではなく「不同意」という選択がありえるのかどうか、聞いてみたい。


●2001年6月13日 県議会総務企画常任委員会

 自民党の江田さんが、地方分権のあり方について質問されていた。地方財政と税財源の移譲に関連した国直轄事業における県負担金の問題で、国の直轄事業について負担金や事業そのものなどについて、地方との事前協議というシステムが充分機能していないのではないか、または国直轄事業が地方の事情を考慮しないままに降りてきてしまうのではないかと疑問を呈されていた。地方が国に事業実施を要望しているということはあるとしても、財政状況や総合計画の見直しなど地方の実状にあった制度改善を国に要望するよう求めていた。私も全くの同意見で当然の要望だと思う。


●2001年6月14日 県議会総務企画常任委員会

議案については私が口火を切って、「八ツ場ダム工期延長への同意」について質した。これまでの執行部とのやり取りの中で、県の水需給計画の見直し作業の中で、霞ヶ浦導水事業との関連に言及されている。私自身は改訂総合計画が予測する人口想定や一人当たりの水需要について、過大見積もりではないかという指摘について厳密な検証が必要という立場。

 

質疑の要点は、
1.都市用水需給バランス推計の中で、水余りというという予測が立っているのに茨城県としてなぜ不同意といえないか。
2.八ツ場ダムでの利水は、岩井市で取水する県西水道で、0.176毎秒トン、取手市で取水する県南水道で0.914毎秒トンであり、霞ヶ浦開発で確保している水で八ツ場ダムでの利水約毎秒1トンを振り替えできるのではないか。
3.工業用水や水道用水、あるいは農業用水などの各水利権の調整が行われれば巨額な投資を避けることができないか。
4.霞ヶ浦導水事業の縮小案で想定される県負担金の削減と八ツ場ダムでの県負担金258億円との比較が必要ではないか。
5.福岡市は中小河川しかなくて水確保に苦労しているが徹底した節水努力が市民に浸透している。茨城県も節水という水確保の努力をすべきではないか。県民一人当たりの水重要の実績と想定はどの程度に見ているのか。


その後、共産党の塚越さんも同様な質疑をされた。

さらに、百里飛行場の共用化空港をめぐって塚越さんが、利用客数の予測で論議があった。私も予測の厳密化は是非とも必要であると考えており、ワープステーション江戸の実績に基づいて、予測の根拠について質問した。ワープステーション江戸の入れ込み客数予測は、初年度が70万人、収支分岐点の予測は40万人ということだったようだ。実績値は37万人で予測を大きく下回った。しかも、リピーターといわれるのはわずか12.3%にとどまった。予測の根拠は明確にされなかった。

水をめぐっては、水不足は政治責任、水余りも政治責任ということになり、その計画は強固さと慎重さとを併せ持たなければならない。最終的に私は、知事の「同意」に同意した。

以上のような議会活動報告をしていました。

http://www.yamba-net.org/
http://www005.upp.so-net.ne.jp/boso/nakayama02.htm