■ テレワーク手当

おはようございます、東京都府中市の社会保険労務士 飯田弘和です。

 

 

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【チェックポイント その416

テレワーク手当について

 

コロナ以降、在宅ワークが増えましたね。

そして、在宅勤務者に対し、“在宅勤務手当”や“テレワーク手当”等の手当を支給している会社も多いと思います。

在宅勤務であれば、自宅での光熱費や通信費、文房具代などが掛かります。

その費用の補填のために、“テレワーク手当”を支払っている場合も多いでしょう。

 

ところで、この“テレワーク手当”が残業代単価を計算する際の計算の基礎に含めなければならないのか、悩んでいる会社さんも多いのではないでしょうか。

 

そもそも、残業代の単価を計算するときは、基本給だけでなく、役職手当や資格手当等の各種手当も含めた金額で計算します。

そのため、基本給だけで計算した場合よりも、残業代単価が高くなります。

そして、本来の各種手当まで含めて計算した残業代単価と基本給だけで計算した残業代単価の差額が、未払残業代となります。

当然、労働基準法違反です。

 

残業代の単価計算に含めなくていいのは、通勤手当・住宅手当・家族手当など限られた手当だけです。

また、ここでいう通勤手当とは、通勤距離や交通費に比例して支給されるものをいいます。

一律支給はここでいう通勤手当にはなりません。

住宅手当、家族手当も同様で、家賃や家族数に応じて比例的に支給されるものでなければなりません。

 

以上のことから、残業代単価の計算では、“テレワーク手当”を含めて計算しなければならないことが分かります。

しかし、この“テレワーク手当”が実費弁償として支給されている場合、計算に含めなくてもO.K.です。

在宅勤務によって実際に掛かった光熱費や通信費の全額または一定割合を補償するものであれば、実費弁償となるので、残業代単価の計算の際に含める必要はありません。

 

ただし、実費弁償とうたっていながら、実際に掛かった費用を上回るような手当であったり、余った金額の返還(精算)が不要であったりするもの、実際に掛かった費用に関係なく一律の金額を支払うものは、実費弁償とはなりません。

そのため、通常の手当と同様、残業代の単価計算の際に含めて計算することになります。

 

また、“テレワーク手当”が、実費弁償であろうと通常の手当であろうと、どちらにしろ、就業規則等で定める必要があります。

特に、実費弁償とするのであれば、実費弁償分の計算方法を明示する必要があります。

 

もし、御社で“テレワーク手当”の導入を考えているのであれば、以上のことに注意して導入してください。

 

 

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■ 能力不足の労働者

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【チェックポイント その415

能力不足の労働者への対応

 

採用した従業員が何度、注意や指導しても同じミスを繰り返し、まったく改まらないとの相談を受けました。

会社としては、能力に見合う賃金額への変更や、場合によっては辞めてもらうことも考えているとのこと。

 

賃金の減額変更については、原則、当事者の合意が必要です。

雇用契約も“契約”である以上、その契約内容を変更するには当事者の合意が必要となります。

ただし、雇用については、雇用契約書だけでなく、会社の就業規則や賃金規程等も雇用契約の一部と考えられるので、就業規則等の規定を根拠に契約内容を変更することも可能です。

この場合には、その変更が、“会社による権利の濫用”に該当しない限り、変更が有効になります。

 

そして、“権利の濫用”とならないためには、“変更の合理性”が必要です。

今回の件でいえば、労働者の能力不足および改善がみられないこと、そして、その能力に見合う賃金額がいくらになるかを如何に客観的に証明していくかが重要になります。

 

次に、辞めてもらう場合ですが、退職勧奨もあれば解雇もあり得ます。

退職勧奨とは、「辞めてくれないかなあ」という、会社から労働者への退職の提案です。

これに対し、労働者は自由な意思で、応じるかどうかを決めることになります。

ですから、退職勧奨を行っても、必ず労働者が辞めるわけではありません。

 

解雇については、会社からの一方的な雇用契約の解除ですので、労働者が同意するかに関係なく、解雇は有効になります。

ただし、“客観的に合理的な理由”と“社会的な相当性“がない解雇は、権利の濫用として無効となるので、安易な解雇は避けるべきです。

そこで今回の場合、教育指導をしっかり行い、それでも能力向上がみられず、他部署への異動も難しく、これ以上、雇用契約を継続することが難しいといった状況が必要でしょう。

 

「何でそこまで!?」と思うかもしれませんが、日本では、解雇がそれほど難しいのです。

ただし、解雇無効を判断するのは、あくまで裁判であり、裁判で無効との判決が確定するまでは、解雇は有効と考えられます。

 

以上の考え方を参考に、会社としてそれぞれのリスクを評価し、どのような対応をしていくかを判断していただくことになります。

残念ながら、万能の対応方法などありません。

 

 

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■ 休憩時間

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【チェックポイント その414

休憩時間について

 

雇用契約書や就業規則で定められた“休憩”が取れていないとして、労働者から、その分の未払い賃金を請求されることがあります。

 

たとえば、雇用契約書で、以下のように定められていたとします。

始業  9:00

終業 17:00

休憩 1時間

この契約では、拘束時間8時間、労働時間7時間となり、7時間分の賃金が支払われることになります。

そのため、休憩が1時間取れなかった場合、その分は労働時間として、賃金を追加で支払う必要があります。

 

ところで、「休憩時間」とは、「労働者が権利として労働から離れることを保証されている時間」をいいます。

そのため、現実に作業は行っていないが、何かあればすぐに対応するために待機しているような状態は、休憩時間ではなく、「手待ち時間」として労働時間となります。

 

休憩時間であれば、労働者が自由に利用できることは当然ですが、その“自由利用”も絶対的なものではないと考えられています。

そのため、休憩時間中の外出を会社の許可制にする場合や休憩時間中であっても事業所内での政治活動を会社が禁止するような場合でも、休憩の本来の目的を害さない限りO.K.です。

最高裁判決でも、休憩時間の”自由利用”について、「時間を自由に利用することが認められているに過ぎず、企業秩序維持のための制約を受ける」としています。

 

休憩時間か待機時間(労働時間)かで揉めることが多いのが、夜間のワンオペ作業です。

ワンオペですと、何かあったら対応せざるを得ないことが多いと思います。

そのため、たとえ、実際には作業等を行っていない時間が多くあり、労働密度が薄い仕事でも、“労働から離れることが保証”されていないとして、労働者から休憩が取れていないとの主張がなされます。

これって結構グレーで、地裁判決では、ケースによって必ずしも労働時間と判断されるわけではないのですが、かなり注意を要するところです。

たとえ1回10分・15分のコマ切れでもいいので、完全に労働から離れる時間をきちんと作る等の対応をしておいた方が会社としては安心です。

 

 

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