電車待ちのために入った駅のカフェ。


さすが週末。大繁盛で、席が空いてない。


まぁ、いいや。・・・と、空きそうな席に目星をつけようと、店内を見回す。

一瞬、ギャルギャルカップルのギャル男と目が合った。


・・・実際にはどこに目があるのかわからないくらいの黒さだっだけど、
確かに目が合った。


と、ギャル男が相方に何やら話しかけている。・・・のを、目の端で確認。


ヤバイ。


まさか、目が合ったとかでイチャモンつけられないよな・・・。
態度はデカイですけど、ワタクシ小心者なんです。・・・と、内心ビビる。


が、急にガタガタと4人掛けテーブルを2人掛け×2テーブルにわけ、
「おねーさん、こっちこっち」と、手招き。




・・・・・・・・・?




恐る恐る「私?」と視線を投げかけてみると、二人揃ってブンブン頷いている。




ありがとう。





見た目で勝手にビビっていた自分自身に反省。

ありがたく、空けてもらった席に座った。


もっと大きなテーブルをひとりで独占している人も居る。
自分が反対の立場だったら多分、気にも留めなかった。


そんなことを考えつつ、このギャルギャルに興味を持った。




ギャル男は明日は仕事が休みらしい。


休みの日は、ギャル男が「ばぁちゃん」をデイサービスに連れて行く
担当なんだそうだ。


「ばぁちゃんはすげぇ。」
「ばぁちゃんは何でも知ってる。」と相方に自慢げに話している。

相方も「ばぁちゃん、カッコイイじゃん!」とノリノリだ。


なーんて、平和なんだろう。
なーんて幸せなばぁちゃんなんだろう。
・・・と微笑ましくなる。




「でも・・・・・。」

と、ギャル男の声のトーンが下がる。

「ばぁちゃん、ボケちゃったかもしんねぇ。」と悲しそうな声。
















「オイラのこと、バカじゃねぇって言うんだ・・・。ボケたとしか思えねぇべ?」



鼻からカフェオレが吹き出そうになる。





ギャル男よ。
アンタのばぁちゃんは正しい。

さっきから話を聞いていると、確かに


「大好きな卵もラーメンも食えねぇけど、何も食べなくて生きていけるなら
オイラ、サボテンになりてぇ」


とか、


「日本が景気悪くなる前から、オイラの景気が悪かったのは何でだ?」


とか。


確かにお勉強はできないかもしれない。・・・でも。


見ず知らずの人間ひとり座らせるために、席を作ってくれたり、
お冷を取替えに来た店員さんに、ちゃんと目を見て「ありがとう」が言えたり、
床に置かれた相方のバックを「誰かがけっつまづいたら危ねぇべ?」と
椅子の背にかけたり・・・。


アンタはバカではない。


私はそう自信を持って言いたい。


席を立つときに、「ありがとうございました」と声をかけると、
「うるさくてすいませんでした~」と笑顔で応えてくれた。


お勉強ができて、
身なりもちゃんとしてて、
世界経済の仕組みもわかって。

でも、「ありがとう」が言えない大人もいっぱい居る。

目がどこにあるか判別困難なほど黒いギャル男に、目を覚めさせられた。