人新生の「資本論」 | 相場残日録(元相場師天の日記)

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プロの相場師「天」の引退後のブログ、残日録として記していきます。

2021年新書大賞第1位 
今ベストセラーになっている
斎藤幸平さんの 「人新生の資本論」 を読んでみました
 
この著者、マルクスの研究者として
既に世界的に注目されている存在です
しかし、まずその年令に驚愕! なんと34歳 私の長男と同い年
そうそうたる方々が絶賛しています
「人新生」とは聞きなれない言葉と思ったら
人類の経済活動が地球を破壊する今の時代を人新生と呼ぶ
そう聞いて とてもしっくりきた感じがします
私も このブログで 地球温暖化を
行き過ぎた 新自由主義資本主義の結果であると
何度も記事にしています
ご参考
この本にある「資本論」
言うまでもなく あの有名なマルクスの著作
80年代前半に大学でマルクス経済学を学んだ私も読みました
自分で言うのもなんですが
結構真剣にマルクス経済学を学びました
懐かしい思いでです。
そのマルクス経済学、ソ連崩壊以降急速に勢いを失くしました
しかし、
最近、新自由主義の資本主義が先進国と途上国の
また先進国内の格差を大幅に拡大させていることから
再評価の動きが進んでいます。
この著者の斎藤氏も、資本論後のマルクスの研究
それは未完に終わり、膨大なメモの形で残されていたものを
新たに体系立てて晩期マルクスの思想を再構築する世界的試みの
メンバーの一人だそうです。
斎藤氏によれば、晩期マルクスが行きついたのは
行き過ぎた資本主義は地球自体を破壊するという事実
そしてそれを克服する手段は、脱経済成長のコミュニズムとの結論
マルクスの進歩史観を学び、またその限界を感じていた私には
マルクス自身が晩年
その進歩史観を否定していたということは衝撃でした。
 
新自由主義が進める資本主義の限界が示す
地球温暖化による地球環境の破壊 
そして先進国と途上国の また先進国内での急激な格差の拡大
一握りの富裕層が地球の富を独占している現実
マルクスを再評価する人達もそれを批判するが
残念ながら有効な解決策の提示ができていないという現実
故に 一種の無力感を感じていたと思います
そんな中で
脱成長のコミュニズムと言う
明確な形で解決方法を示した34歳の斎藤氏 
何という若い才能がこの日本に! という気持ちです
 
こんな若者が現れるということに
日本の未来も捨てたもんじゃないな
そんな希望を持つことができました。
 
以上