11月末から12月はじめにかけて、所用により鎌倉市の大船に永らく宿泊することになった。折角なので楽しまない手はない。駅前のホテルメッツで湘南モノレールが見えるお部屋を…と希望を出させて頂き、昼に夜にこの駅を発着するモノレールを宿泊者だけにしか撮れない角度から撮影することを試みたのだ。

 

 

まずは11月30日、21時を回ったホテルの窓から、1/60秒から流し撮りを始めてみた。ブルーの帯がきりりと美しい5000系第2編成がするすると大船駅ホームから滑り出す。モノレールの起動にぴたりと合わせてカメラを動かし、シャッターを切る。夜の繁華街をバックに鎌倉の山へ、湘南の海へと向かう空飛ぶ列車が、今動き出す。

 

 

お次は湘南イエローライン(どう見てもオレンジなのだが…)の第4編成を、ちょっと欲張って1/30秒で流す。カーブ上を走って来るため流しの方向もやや複雑だ。

 

 

折り返しの第4編成を再び1/30秒で!街が!車が!流れて行く。

 

 

そして湘南グリーンラインの第3編成をカーブ流しで捉える。ホテルの駐車場の緑との相性も良い。列車の動きとともに息を止めカメラを走らせる緊張感。夜の街に輝くシルバーの列車が放つ鋭利な輝き。すっかり楽しくなってしまった。

 

 

さて、12月2日には少々時間ができたので昼間大船観音寺詣でを行った。知らずに行ったのだがたまたま人形供養や猿回し、ふるまい餅といったイベントもあり夫婦で楽しむことができた。で…途中で夫の私が俄かに不穏になりカメラを向け始めたのがもちろんこちらで…。

 

 

大船観音寺から見下ろす大船駅構内。手前にはJRの線路、奥には湘南モノレール。そしてその奥に小さな大船の繁華街と、山の上の住宅地が広がる。いわゆる三方を山に囲まれた旧鎌倉地区はあの山々のさらに向こう側だ。

 

 

ちょうどE259系の入庫列車がホームを出てきたため湘南モノレールの5000系第5編成(紫帯、OJICOラッピング)と一緒にカメラに収めた。大船駅構内には至る所に成田エクスプレスの利用促進のためのポスターが貼られている。空港に行かずとも通勤にどうですか?という戦略のようだ。近年の動向を見るとコロナ禍や円安による海外旅行不振に加え羽田空港の機能拡充を得て成田空港の利用は大きく低迷しているようで(2022年に私が利用した時にもすっかり閑古鳥が鳴いていた…)、成田エクスプレスも大宮便廃止に続き来春には八王子便が廃止されるらしい。一歩間違えると大船便の廃止も秒読み、ということなのだろうか。

 

 

大船でぐうたら過ごした一日の終わり、夕暮れに合わせて再度撮影を再開した。今度はホテルの窓から、夕映えのグラデーションに包まれる街と、青帯の列車と…。

 

 

レンタカー店の灯りがモノレールの車両を脇から照らす。湘南モノレールはトンネル区間を除いて日中は前灯を点灯しないため、前灯を灯した鋭い面持ちを撮影できるのも朝夕のほの暗い時間帯ならでは。

 

 

間もなく陽が沈んでいく…。先日よりも早い時間帯故まだまだ街の灯も明るい。この日はちょっと挑戦の幅を広げ、1/15秒での流しに挑むことにした。露光時間を長くしたことでISO感度は前回の2000~5000から1000に下げている。大好きな青帯の第2編成が夜の街を駆けて行く。下で追うのは江ノ電バスだ。

 

 

続いて緑帯第3編成!

 

 

最後はオレンジ帯の第4編成をターゲットに、最も難易度の高いカーブ流しを1/15秒で。カメラのファインダーを覗きつつ列車の顔にカメラをぴたりと合わせる。モノレールの軌道にそってゆるりと体をひねる。街が流れる。灯が走る…。果たして列車の軌道を同じ形にカーブを描いて流れた遠くの家並の輝きに、心の中で歓喜の雄叫びを挙げたものである。