こんにちは ナチュロパスのあきこです 🥰

 

今回は、クリニックで実際にあった出来事をもとに

銅(Cu)というミネラルの奥深さについてお伝えします。

栄養素はひとつだけ見ていても

なかなか答えにはたどり着けません。


この記事が、ご自身の体を

見つめ直すきっかけになれば幸いです。

 

🌿 クリニックで起きたこと

 

先日、40代後半の

男性がクリニックにいらっしゃいました。
穏やかな印象の方でしたが

どこかぼんやりとした様子で

 

開口一番こうおっしゃいました。

「銅のサプリがほしいのですが」

なぜ銅なのかをお聞きすると

首をかしげる本人。。。

 


血液検査をされているか?お聞きすると

これまた 曖昧な返答。

 

そして
話題は突然

「鉄が少ないのでレバーを食べている」という方向へ。

 

 

会話の流れが定まらず

言葉に詰まることも多い状況でした。

 

 

10分ほど経ったころ

私が

「亜鉛の値は高いんですか?」とお聞きしたところ——

「はい!!!亜鉛が高い!」
それだけは、はっきりとおっしゃいました。

つまり、血液検査は受けていた模様。。。。

 

亜鉛が高いという結果も把握していた。

 

そこから「銅のサプリ」という結論に至っていた。

 

 

その判断自体は

栄養学的に間違っていません。

 


しかし問題は、

なぜ亜鉛が高いのか?

なぜ銅が低くなったのか?

 

その背景が整理されないまま

サプリメントだけが先行していた点にありました。💦

 

 

<ナチュロパスとして気になったこと>

言葉が出にくい、話がまとまらない

——この症状そのものが

銅欠乏による神経症状である可能性があります。

 

あるいは、認知機能の低下が始まっているサインである可能性も!

完全には否定できないと感じました。


🌿 そもそも、銅はなぜ必要なのか

銅は体内に微量しか存在しませんが

非常に重要な役割を担っています。

  • 赤血球の生成サポート(鉄の代謝に不可欠)
  • 神経髄鞘の維持(神経信号をスムーズに伝える)
  • 抗酸化作用(SOD酵素の構成成分)
  • 骨・結合組織の形成
  • 免疫機能の維持

銅が不足すると、

鉄剤を飲んでも改善しない貧血、手足のしびれや歩行障害、免疫力の低下、

そして思考力・記憶力の低下など、

多岐にわたる症状が現れることがあります。

 

 

🌿 なぜ銅は低くなるのか

銅が不足する原因は

食事だけではありません。


以下のような要因が複合的に絡み合っていることがほとんどです。

① 亜鉛の過剰摂取

これが今回のケースで最も疑われた原因です。

亜鉛と銅は

腸の粘膜細胞にあるメタロチオネインというタンパク質を介して吸収されます。

 

このタンパク質は亜鉛に対してより強く反応するため

亜鉛が多い状態では

銅の吸収が競合的に阻害されます。

 

「亜鉛が健康によい」という情報は広く知られていますが

亜鉛サプリを長期・高用量で摂り続けることで

気づかないうちに

銅欠乏が進行するケースは臨床の場で決して珍しくありません。

 

 

また 亜鉛は

【鉄との拮抗もあります】DMT1(二価金属トランスポーター1)経由

亜鉛と鉄(非ヘム鉄)は、

腸管に存在するDMT1(二価金属トランスポーター1)という

共通の輸送タンパク質を取り合います。

 

亜鉛が過剰な状態では、

この輸送体が亜鉛の吸収に優先的に使われるため、

鉄の吸収が妨げられます。

 

 

今回の男性が

「鉄が少ないからレバーを食べている」とおっしゃっていたのは

まさにこの拮抗が起きていた可能性を示唆しています。

 

亜鉛の過剰摂取というひとつの原因が

銅と鉄の両方を同時に低下させていたとすれば

症状の多くが一本の線でつながってきます。

② 食事からの摂取不足

銅を多く含む食品は

レバー・牡蠣・ナッツ類・豆類・全粒穀物などです。

 

精製食品や加工食品が中心の食生活では

銅の摂取量が慢性的に不足しがちです。

③ 消化・吸収の問題

腸の炎症、リーキーガット(腸管透過性亢進)

胃酸の低下などがある場合

食事から銅を十分に摂っていても

吸収できていないことがあります。

④ フィチン酸・ビタミンCの過剰

穀物や豆類に含まれるフィチン酸は

銅をはじめとするミネラルの吸収を妨げます。

 

また、ビタミンCを高用量で

長期間摂取すると

銅の吸収を阻害する場合があることも報告されています。

 

⑤ 遺伝的要因

メンケス病やウィルソン病のように

銅の代謝に関わる遺伝的な

異常が原因となるケースもあります。

 

これらは専門的な検査と医師による診断が必要です。


🌿 では、銅を補えばいいの?——摂りすぎにも注意が必要
重要 「銅が低いなら補えばいい」と思われがちですが、銅は摂りすぎても危険です。
  • 肝臓への蓄積・肝障害——銅は主に肝臓で代謝されます。過剰摂取が続くと肝臓に蓄積し、慢性的な炎症や機能低下を引き起こします。
  • 酸化ストレスの増大——銅は酸化還元反応に関わる金属のため、過剰になるとフリーラジカルの産生が増加し、細胞へのダメージが進みます。
  • 亜鉛・鉄の吸収阻害——今度は逆に、銅が多すぎると亜鉛や鉄の吸収が妨げられます。ミネラル同士のバランスは、どちらに傾いても問題になります。
  • 神経毒性——銅の過剰蓄積は、アルツハイマー型認知症との関連性が近年の研究で注目されています。脳内での銅の異常沈着が、神経変性に関与する可能性が示されています。
  • ウィルソン病(遺伝性の銅蓄積症)——遺伝的に銅を排泄できない体質の場合、補給により症状が急速に悪化するリスクがあります。

🌿 サプリメントより先に、確認すべきこと

今回の男性に、私がまずお伝えしたかったことは

サプリメントの前に検査の数値を

きちんと整理することでした。

 

<確認すべき主な検査項目>

  • 血清銅(Serum Copper)
  • セルロプラスミン(Ceruloplasmin)——銅の運搬タンパク。銅欠乏か過剰かの判断に重要
  • 血清亜鉛(Serum Zinc)
  • フェリチン・血清鉄・TIBC——鉄の貯蔵・輸送状態の把握
  • 肝機能検査
  • 物忘れ・言葉が出にくい・思考がまとまらないなどの症状が気になる方は、かかりつけ医への相談も忘れずに

これらを総合的に見て初めて、銅が本当に不足しているのか、亜鉛とのバランスはどうか、そして何が根本原因なのかが見えてきます。


🌿 おわりに

「銅のサプリがほしい」という一言の裏に

これだけ多くの可能性が隠れていました。

 

 

ミネラルは単独で考えるのではなく

他の栄養素との

相互関係

消化吸収の状態

生活習慣

そして遺伝的背景まで含めて

 

トータルで捉えることが大切です。

 

 

サプリメントはあくまでも補助的な手段。

 

自己判断での摂取は

症状を改善するどころか新たな不均衡を生み出すリスクがあることを

ぜひ知っておいていただきたいと思います。

 

 

気になる症状がある方は、ぜひ一度、専門家へのご相談をご検討ください。

今日も最後までお読みいただき

ありがとうございました。

 

 

 

 

日本の読者の方へ——大切なお知らせ

この記事は、オーストラリア・ケアンズのクリニックで

実際に経験したことをもとに書いています。

 

オーストラリアでは、

ナチュロパス(Naturopath)は自然療法の専門家として認知されており

クリニックにおいて

医師(GP・専門医)と連携しながら、栄養療法・サプリメント指導・生活習慣のサポートを

行うことが一般的です。


患者さんの血液検査データを医師と共有し、

統合的なアプローチでケアにあたっています。

 

⚠️ 日本にお住まいの方へ

日本では、栄養療法や治療目的のサプリメント指導は、医療機関(医師)が行うものとして位置づけられています。

この記事の内容は、あくまでオーストラリアの医療制度のもとでのクリニック経験に基づくものです。日本にお住まいの方が同様のケアを希望される場合は、機能性医学・統合医療を専門とする医師にご相談されることをお勧めします。

 

本記事の情報は、一般的な教育・情報提供を目的としたものであり、診断・治療の代替となるものではありません。

気になる症状がある方は、必ず医療機関を受診してください。