香港警察本庁の壁に生卵をぶつける。中指を突き立てる。声を上げる。

6月21日、

この日、香港政府は逃亡犯条例の事実的審議延長を発表したが、

香港市民の訴えは収まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

法案審議の延期では納得しない。

香港市民が求めたもの

それは香港の自由と民主主義を奪う

逃亡犯条例

この法案の"撤回"だった。

 

 

その実現のため

続く7月1日 (香港返還記念日)

人々は立法府=国会議事堂のメインエントランスの前に集い

ガラス扉をぶち壊し、議事堂内への強行侵入を試みたのだった。

 

誤解のないように伝えたい。

過激な報道が切り抜かれると、あたかも香港市民が

怒りに任せ、"暴徒"と化し

参加者ではない一般市民、他者を攻撃するような印象を与えることがある。

 

 

しかし現場はそうではなかった。

市民のデモ参加者たちは終始親切で

周囲の誰もがお互いを気にしあっていた。

私にさえ気遣い、取材に来たのならとマスクやゴーグルを与え

その上お礼の言葉までかけてくれたのだった。

 

誰も強制されていなかったし、

救護班が常に待機し水や食料、マスクなどを配ったり、

休む参加する、どこへ行く、または帰るなど

その意思は各々に完全に選択肢が与えられていた。

 

しかし、今まで私が取材したどの国のデモよりも

破壊行動を含む直接行動をいとわなかった。

 

それはなぜか、香港人の自由を愛するプライドなのだと理解することが出来た。

先のインタビュー、ピーターさんの言葉が思い出された。

決まっている未来がある。

 

 

1997年の7月1日

香港はイギリスより返還を受けた。

2047年には香港は中国の一部となる。

 

しかし今は2019年。デモに若い世代の参加者が多い理由は

彼らの長く続くこれから先の将来が危ぶまれ、いつかはやってくる恐れていた未来が

当初の約束を破り早まり迫ってくることへの抵抗なのだ。

 

加えて言えば、18歳の参加者、16歳のデモ参加者からすれば

彼らには責任がなく、生まれた時から決まっていた国と国の大きな取り決めに対してのあがない。

 

政治や社会を自分たちの未来のこととして考えられる点は日本と大きく異なる。

多くの方々にインタビューを試みたが

誰もが自分たちの未来だからこそ真剣に行動し、

暴政を悪政を止めるために参加していると打ち明けてくれた。

 

 

 

 

 

 

取材 text by Sotaro Ohdake 

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