第一報を聞いて、真っ先に思い出したのは
2008年アフガニスタンで起きた 
ペシャワール会職員 伊藤和也さんの拉致、殺害事件だ。

「自己責任」という論調が多く聞かれた中、はたして
事件の背景をどこまで多くの日本人が理解していたのだろうかと、今でも疑問が残る。


私達はしばしば、遠い国や その地域の人達の信じる宗教に対して
間違った畏怖の念を持ちがちではないだろうか?



ペシャワール会は日本人医師 中村哲氏が設立したNGO団体だ。
アフガニスタンで医療活動に従事していた中村医師は
当初ハンセン病の患者に対して医療活動を行っていたが
大干ばつを機に発生した赤痢に対し
病の原因は飲料水にあると考え、自ら重機を操り用水路の建設を始めた。

診察だけではなく、生活の源となる水源確保に翻弄する中村医師。
荒廃した土地に緑と水が戻り、地域の多くの人達と喜びを分かち合った。

殺害された伊藤和也さんも『アフガニスタンの復興のためには農業支援が欠かせない
』と考え自ら志願しペシャワール会の活動に参加していた。


「なぜ、日本を飛び出したのか正直に答えてみなさい。
別に追い返したりしないから。」
中村医師はそんな風に実直に若者達に接し、
伊藤和也さんらと共に汗を流し、用水路を完成させたのだ。


中村医師が著書のなかで下記の様に語っている。
「タリバン」という言葉はタリバン兵などとも用いられるため間違ったイメージを持ちがちだが
本来のアラビア語では「学生」や地域の「寺子屋」「公民館」などを意味する。
学校等が少ないアフガン地域ではこういった公民館が子供達の貴重な教育の場となり
集会の場となっているのが語源。
集会の場になっている故、アメリカ軍の空爆の標的にもなり多くの子供達が命を落としている。


昨今の日本人も宗教は持たなくなったとは言われるが
神社の鳥居や境内にミサイルが打ち込まれたら、どうだろうか
感情を逆なでする行為だと想像に容易いだろう。








72時間と時間を制限し、首相にどうプレッシャーをかけるか?
私達は強く牽制され同時にアクションを求められている。


後藤健二さん フリージャーナリスト

「戦争・紛争」「難民」「貧困」「エイズ」「子どもの教育」の5つの人道分野にフォ-カスし
困難な環境の中で暮らす子ども達にカメラを向け 世界各地を取材している。

The World With You
世界のどこまでも 子どもたちを応援し続けますとの言葉通り
氏の動画レポートの中には紛争地域に生きる母親や子供達の姿が確認出来る。


後藤氏の様な紛争地域を現地から報道するジャーナリストがいなくなれば
ニュースはますます 報道を報道するだけになり
紛争地域、現地では何がおきているのか、
私達はますます知り得る術がなくなってしまう。


私見ではあるが、僕がアフリカで出会ったムスリム(イスラム教の)人達は
僕達と何ら変わらない感覚の持ち主だった。
そして、食事があれば分け与えてくれ、ムスリム寺院(イスラム教の教会にあたる施設)の内部の見学を許してくれた。




この問題のおおきなポイントは、
現段階ではまだ、二人の拘束されている邦人に命はある点だ。




欧米側にない、強いて言えば日本側にない 正義の解釈もある。
国際的な空気読みなら要らない。



多数決の中にはない答えを。






freelance journalist / 大嶽創太郎