同じ宿のイギリス人男性1人が失踪、行方不明になって29時間が経過した

30代半ば4人組のイギリス人が宿にやって来たのは2日前の夜だった
1人の男性に見覚えがあった
さらに前日の晩、僕ら(僕とドイツ人女性2人)はこの街のタウンからやや離れた丘にある
フロリダロード=ダーバンで最も高級ショップが立ち並ぶストリートのbarでビールにカクテル各々に夜の酒を楽しんでいた 

席について2時間程たった頃だろうか、やや離れたテーブルの男性が席を立ち叫ぶ
「ドロボウだ!i hone5を盗まれた!!警備の人間は早くあいつを追ってくれ」
白人男性は自ら動き追いかける事無く
手元にあるmacbookをいじりながら声をあげたのだった

白人が好む様なBAR レストランが乱立する200メートル程の地域
この辺りにはタウンの長距離バスステーションでも見ることない
より手の込んだ物乞い盗人達が集う
子供達にあえてボロ着を着せ物乞いに仕立てる母親
赤子をおぶりお金をくれと夜の街に群がる白人や富裕層にたかる
タイのカオサンでも似た光景を見たが、普段は大らかで嘘を好まない黒人女性が、そんな手のこんだマネをする事にショックを憶えたのだった
(似た手口で物乞いをするインド系、白人系アフリカ人は見た事があったが......)


宿にチェックインして来たのは、i phoneを盗まれた彼等一行だった
どう?その後?
ふ~残念だがやはり、盗まれたものは帰って来なかった
当たり前だろう、と思いながら挨拶を済ませ、
その後彼等と話すことは無かった
その彼が昨夜、仲間達とラグビーを観戦した後、行方が分からなくなった
ケータイが繋がらない
翌朝から警察に駆け込み捜索願を出し彼の行方を探す仲間達
「どうやら行方不明になったらしい」そう一報を僕が受けたのは
彼が行方不明になりおよそ18時間程が経過した午後2時ころだった

「心配だね....」

『きっと大丈夫だろう
今にヒョコリ帰ってくるんじゃない?飲み過ぎたとかなんとか言いながら
sotaro、 この件はジャーナリストのお前的に興味ないの?theイギリス人の失踪 ど~よ?』

「うん、はっきり言ってないかな。前々日の夜彼等がbarで飲み彼が荷物を盗まれる所をみている からね なんだろ、もっと仲良かった奴ならともかく、俺もそのうち帰ってくると思うよ。
そんな気がする」


22時を過ぎ夕飯を済ませたラウンジに3人のイギリス人達が戻ってくる
申し訳ないがニュース番組を確認させてくれないか?
彼等はパソコンを広げ、忙しなく電話をかけている

おいおいまだ見つかってないのか?
夜勤のnaniに聞く
ああ、実はそうなんだ......sotaroちょっとこの話題は置いておいてくれ

宿のスタッフ、イギリス人達の緊張感が宿のラウンジに重たい影を落とした
雨が静かに降っている


ビリヤード台の白球をテーブルに何度も何度も忙しなく転がしている
彼等3人の間に会話らしい会話は無かった



貴方達の友達の無事を願うよ

ありがとう 
ただ出来る事はもうやり尽くした
心配だがもう俺たちに出来る事はない ただ待つだけだ



23時半を過ぎ、彼等は荷物をまとめ、別のホテルへと移って行った