虹の国をみつけたら past 25

彼らが言うバビロンの正体 Fucking Police





ポリスにリンチされ銃を突きつけられた
その現実、悔しさと憤り感情の均衡が取れず煙草を吸う

頭を丸めることにした
インド人のバーバーに駆け込む。悪いが金は明日持ってくる
隣の鏡台の彼のように坊主にしてくれ。
彼は黙って応じてくれた。
鏡に映った自分の顔は笑ってしまうくらいに別人だった。
まるでエンセン井上。試合後のプロレスラーだ。

バリカンの歯があたり遠慮なく髪を刈り上げていく。短い髪が刈られていくと気持ちはどんどん楽になった。丸坊主になった頭を左手でなでるとシャリシャリといい音がする。

大根があればすれそうだ。僕は礼を言ってバーバーを出た。


さてさてどうしたものか、足は一向にゲストハウスに向かなかった。
どこに行くわけでもなく彼らへ宿のスタッフへの言い訳を考えビーチを歩いているとブシが声をかけてくる。

ブシは50代のモーガンフリーマン似の男だ。
昔はボクシングの選手だった。奥歯をかみギシギシ音をたてる癖は未だに抜けていない。
小僧達を束ね白人相手に車を洗う元締めだ。一方裏では大麻などを扱うプッシャー小僧共の親玉でもあった。ブシとパイナップル売りのインド人シンさんは仲良くいつも決まった場所で油を売っている。
シンさんもシンさんで1本5ランドで切り身のパイナップルを売って14年になる。
一見象の様な優しい顔立ちだが目の奥に鋭さを持っている。
実はシンさんこのパイナップル売りがこの辺りのギャングのボスなのでは?と、勘繰ったりもしていた。

彼らはこの街で最も頼れる大人の2人だ
彼らと話し込んでいるとそこにいつまでもいたいと思うほどだった。
ある時は煙草をもらいまたある時は、余ったパイナップルを分けてくれるのだった。


どうしたんだ?Soh?スキンヘッドにして?んんーー?
おおーー?どうしたんだ??
お前一体その顔はどーしたんだ?一体何が起きたんだ?誰にやられた?
話してみろ?んー??


ブシ自分の子供を扱うように語りかけてくれた。
煙草もってる?


僕はブシから煙草をもらい火をつけて事の一部始終を話した。
話の途中、彼は一度だけ質問をした
「お前を一番最初に殴った奴は黒か白かどっちだ?」

どちらでもない、間の子のだよ。アフリカーン


イッシー、ふぅ~ あ~~ぃ ブシは相槌を入れながらゆっくり話を聞いてくれた。
「お前はこの国の人間じゃないのにな、英語だって満足に話せないのにな
 イッシ~全くひどい目に遭っちまったなぁ」
目を伏せ奥歯をならしながら同情してくれる。
ブシはそのまま僕をbarに連れて行ってくれた

リーガエスパニョーラ=スペインリーグのサッカーLIVEを見ながら、彼はカステルのブラックラベルを注文する。
ため息を付きながら黒ビールを飲む。ブシは優しいし絵になる男だった。

「ほらな? 今のプレー見たか? 彼は痩せていても物凄く力があるし、いい プレーヤーだろ?
 ブルースリーも痩せていてだけどあんなに強い男はいない、そーだろ?なぁ。。
 お前カメラはどこいったんだよ?ジャーナリストなんだろ?
 いつかこの国の映画でも作ったらいい」

それだったら映画じゃなくてドキュメンタリーにするよ。マリファナの素晴らしさを語ってくれ

マリファナの素晴らしいところはな、薬にもなるし、リラックスも出来る、ありゃー神様が創ってくれたギフトなんだ。それでな。。。。おいちょっと待てよ。
ドキュメンタリーにしたら俺がポリスに捕まっちまうかも知れない

顔を映さなければ?偽名にもできるよ?

そしたらこーしよう!俺の職業は車の輸入代理店でな、金もたっぷり持ってるわけよ

またべたなギャング映画みたいになってるよ
クダラナイ話をしながらブシいつまでも慰めてくれた。


ゲストハウスに戻る
皆にばれないように後ろ向きにエントランスを通ったがダメだった。
ナニが様子を伺いに来る。
男同士だ。彼はすぐさま状況を察すると黙って部屋を去ってくれた。
ベッドで寝込んだがこんな日に限ってラウンジではブラック達が大音量で音楽をかけ踊りパーティーをしている。

眠れない
ベッドを飛び出してラウンジのバーカウンターに向かった。
ラムをロックでシングルじゃなくてダブルね!

yes sotaro!! give me your five
ピワがハイタッチをしてくれた。




馴染みの商店インド人のおばさんが僕に言う
「貴方は何か間違ったことをしたの?何も間違ってないのならスタイルは変えてはいけない。」
その通りだと思った。
でも、僕は付け加えた
「thanx but i just need more enagy 」
スタイルを変えたんじゃない。テンションをあげたかっただけだ。


ポリスに袋叩きにされた翌日
僕はスケートパークで出来もしないトリックに挑み失敗。
コンクリートに左手を強打し、ナニから非常用の痛み止めを処方された。




騒々しい毎日だ。












彼らが言うバビロンの正体 Fucking Police
A true story by sotaro ohdake
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