ストリート チルドレン ep4



サーフボードを抱えたキッズ2人の後を追いムトンボ=セイフティーハウスに向かう
彼らのサーフボードに目をやるとbillabong他スポンサーのロゴが見て取れる
それらは2年前より増えている
僕のくわえた煙草を見ると分けてくれと強請る<ねだる>のだった
年はいくつだ?
18歳だよ!
何年生まれか言ってみろ
え~~とえ~~と
年の頃13歳と10歳といった処だろうか

彼らは嘘をつく時に決まってぴったり18だ

火をつけ煙を燻らせ後を追う
ナイジェリアンが仕切るこの街の最貧民のローカルが集うブロックを行く
午後2時
普段、1人なら近づかない危険なブロックのストリート
だがそこには物資の搬入に汗を流す男達
学校帰り制服に鞄を引きずる子供
行き交う車も忙しなく、知りえなかった午後の風景が、ただただ広がっていた

タバコ商店、アフリカーナの親父が目を丸くして僕を見る
視線の中に有ったのは単純なアジア人に対する驚きと好奇心だった
元気かい?調子はどうだい?
うん大丈夫だよ、ありがとう

店の前でキッズ達の足が止まる
友達だろう、やはり10歳くらいのキッズと話し挨拶を交わしているかと思うと
短いやり取りの後、彼は彼らに煙草を1本手渡した
不良キッズの間にも脈々と受け継がれ、流れるシェアの精神
感心しながら、煙草は少し早すぎだなと苦笑いしながらも、僕はライターを貸してやる事にした
兄貴分と言っても13歳が十分に3分の2程を吸い残りをチビ10歳に渡す
チビは一丁前に煙をくゆらす
僕らは歩を進める
路肩には路上生活者達がブランケット一枚寝転んでいる
中には生まれたての子供をあやす16歳程の女の子も見て取れた
チビが最後の葉を燃やす直前、やはり14歳程の女の子が煙草をくれと声をかける
チビは応じ、女の子はフィルターギリギリの今にも燃え尽きるそれをくわえ息を吸い込むのだった


ざっと見渡しブロックには20人程の路上生活者が確認できた
路地の先、交差点でヨーロッパ白人が黒人の赤ちゃんをおぶりあやしている
点滅する信号機、後方にムトンボの入り口が見えてとれる




一歩足を踏み入れて強烈な違和感を感じる
静かすぎる
2年前には40人程の男女が生活していた喧騒が今は全くない
2人の中年黒人女性に話しかける
今は何人の子供達が生活しているんだ?
26人程かしら
今の責任者、或はマネージャーに面会する事はできるか?
あなた何者なの?
日本から来たジャーナリストだ2年前もここにも来て食事を施され取材させてもらった
出て行った子供達は何処に行ったんだ?
みんなそれぞれ、ネイバーフッド(故郷)に帰っていったわ

中庭に寝転ぶキッズが憂う目で僕を見ている
壁に書かれた色とりどりのペイント
ピンクのブタのお腹に書かれていたCancer USA の文字は
(2年前僕はそれを見て腹を抱えたのだが)
今では新たにペンキが塗られ違う言葉にすり替わっっている
おもちゃ箱をひっくり返した様な子供達の遊び道具はなく、妙に整然とひっそりとしている

もう出かけよう
2人のキッズに促され僕らは施設を出る

彼らは来た道を戻りやがてナイジェリアンタウン、最貧民街のビルの中に消えていったのだった














A true story  text by sotaro ohdake
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