ストリート チルドレン ep2

どうしても今夜中に書き上げたく
眠気にムチ打ち書いてます






商店の親父との会話が弾み
シェアした炭酸飲料、煙草をすい満足感と幸福感を味わったのもつかの間だった

帰り道
商店から僅か10m離れた場所で見覚えのあるキッズに再会した
見るからに拾った衣服、疲れ切った表情、伸びた髪
2年前より背が高くなっているものの
以前言葉を交わしたキッズに間違いなかった

お金をくれ
白目に褐色の充血が見て取れる
齢10歳くらいだろうか
2週間程前に母親を亡くし、天涯孤独の身になったと言う
生きるのがつらい、食べ物が欲しい、腹が減っている
自殺したいくらいだ
彼らにお金を与えても、その金はドラッグに消えてしまう可能性が高い

僕は彼を引き連れ、先ほどの商店に踵を返した

商店の親父に確認した所
事実確認は出来なかったが
彼は追い出されることを嫌い出口の影に身を隠している

ジュースのシェアを進めたが、いらないと断られた

もう一度聞くが、なぜお金が欲しいんだ
学ぶため学校に行きたい、食べ物が欲しい
その前に今夜どうしてもシェルターで眠りたい

憔悴しきっている 濁ってしまった瞳が うつろな表情の印象をより強くしている

僕は彼を連れシェルターまで行くことに決めた
1つはシェルターに泊まらせれるためなら、お金を払ってもいいと思った点
その為には彼にお金を渡すのではなく、シェルターの人間に僕が支払わなければならない

2つ目のポイントとして
僕自身、セーフティーハウスとは違うシェルターと成る施設を自分の目で確認したかった

キッズに案内され道を行く
途中他のローカルが俺も助けてくれと声をかけてくる
1人助けていれば、他のローカルも自分もと寄ってくる
キッズとローカルの間で小競り合いになりそうになるのをなだめる

僕が最初に声をかけたじゃないか!!僕をまず最初に助けてくれよ!!!
先ほどのうつろな表情とは違い怒気を隠さない

俺はセンターだ(中立な立場だ)だから話だけは聞く
だが、まず約束した通り、今夜の寝床の為の金は払ってやる


10歳程といっても過酷な環境と天涯孤独となってしまった事実が
キッズを大人びさせている
感情表現やモノのいいよう 言葉の端々に その性を受け入れざるえない覚悟が鏤められていた

いいか良く聞けよ
わざと語気を強くしながら伝えた

母親のことは本当に気の毒だった
だがお前は男だ、これから1人で生きて行かなければ生けない
強くなれ

ふっとキッズの鼻から息が抜けた

これからは注意してより良い道を選ぶんだ
それは難しいかもしれないがお前ならきっと出来る
安易に悪い道に行ってはいけない
それらは一見優しく近寄ってくるが見極めろ
そっちに行ってしまうと後は転がり落ちて地獄行きだぞ

分かってる 彼らはヘビの様に近寄ってくるからね

彼が例えを応用した事に伝わっていると期待した

こっちだよ
気づけばナイジェリアンが多く住み着く危険なブロックに足を踏み入れていた
緊張感がます
ローカルの種類が変わってくる
挨拶をしても返さない
キッズと僕を見比べ品定めしてる
街の最も雰囲気の悪いストリートのど真ん中にシェルターはあった
おまけにシェルターの出入口には、宿に溢れたおよそ柄の悪い連中が15人程たむろしている

もう遅い 緊張感と集中力を高めて行くしかない

howz it ?
輩に声を掛けても誰一人返事はせず
けれども確実に視線が集まるのを感じる
受付に行く 
シェルターとは最貧民のローカルが寝るだけ
格安の日払い宿泊施設だった
ドミトリー以下のドヤ もちろん無償の食事などない

一晩いくらだ?
50ランドだ(およそ500えん)

嘘つくなよ!昨日までは20ランドだったじゃないか!!
いつも、毎日20ランドだったのに!!

嘘ではない、疑うなら他の男に聞いてみろ
.....50ランドだ.......

この国の下手くそな嘘つき輩の目は共通している
すぐに見て取れる
(100ランド出せば僕らが泊まる宿に泊まれる程の経済バランス
 彼らがフッカケているのは間違いない)
交渉はしなかった
ポケットから小銭を出そうとしたが、誤って4000円程の紙幣
100ランド札の群れを出してしまった
出入り口にたむろしている輩の視線を感じる 泣き出したいくらいだ
50ランドを20ランド紙幣2枚10ランド紙幣一枚で支払った

are you happy now ??

受付とキッズを見比べても返事はなかった

それはそうとお前、帰り道は気をつけろ
they gona Rob you (彼らはお前から強奪する気だぞ) 受付の男が口を開いた

Rob you この国で最も嫌いな、けれども強く感じる言葉

わかっている  気をつける

お礼に僕が安全に見送るよ 彼らには手を出させない キッズの申し出を聞き入れた


出口に向かう
緊張感が高まる
一歩外に出た処
輩達と目が合う 来た時よりも増して視線を感じる


今回だけだ
今回だけだ次はない
俺とお前は古い友達だ 母親の件もある 今回は助けるが、次は助けないぞ

瞬間の判断
気付けば、だけど、有意識的に口に出していた


分かった とキッズは応える

視線を感じる 緊張感が高まる 再び歩き出す 輩達の前を通り過ぎるその時




thank you




その群衆から声が聞こえた

振り向かない ほんのすこし顎を引き上げ応える

安全なブロックまで見送ってもらった
とは言ってもそれは交差点までだだったが、人通り、行き交う車も多く
後方を確認しても男達が後を着いて来ている様子はなかった

キッズに何か食べ物を買って帰れとポケットのコインを渡した
(モノではなくお金を与え、後悔したのは宿に戻ってからだった)




強く生きろよ

ありがとう!また明日!!




少年と別れた後、直ぐさま別のローカルが声を掛けてくる
何でお前はこのブロックから出て来た
事情を話す
いくら払ったんだ?俺にもお金を分けてくれ

自分で働け
ローカルは暫く後を追って来たが(それは僕に取って身を守れるため幸運だったが)
やがて諦めビーチの方角に消えて行った



キッズの淀んだ目が、頭から離れない
文章を書きやっと理解する事が出来た


彼の瞳の中にある怒りに似た正体
それは嘗ての自分の感情だった



幸い、僕の母親や家族は存命だ
しかし、記憶と感情が蘇る
17歳 狂気の犯罪に巻き込まれ殺された嘗ての友人
(今でも、友達だと思っているが)
それらまつわる裁判での失望の連続
システムや社会に、マスコミの誤報に対する憤り
搾取を隠し口だけ八丁
儲け主義のお偉い、しゃちょさん、先生方の酔いどれスピーチ
聞こえてくる雑音 絶え間ない雑音 騒音騒音
そしてそれらとの自己の感情感覚と均衡を保てない
生活がうまく行かない 生きる自信が見出せない憔悴


キッズの目の中にあった澱みは
嘗ての僕の感情だ








宿の安全策ドアが開く 踏み入れ生きている事を実感する
そこにはビールを飲みソファーに寝転び
TVを観ている宿泊客
いつもの、いつも通りの光景がただ広がっていた




貴方は今、満員電車に揺られ他の多くの人と同じ様にケータイを手に画面を観ている
会社のオフィス パソコンから観ている
帰宅してTVを観ながらご飯を食べながら酒を飲みながら
寝ながらポテトチップスを食いながら
このブログを読んでいても 僕はカマワナイ

ただ少しだけ意識して
イメージして欲しい
およそ自分とは関係無いと思っている
日本から計り地球の裏側にある
とある国での日常を

それらは確実に貴方や私 つまり私達に繋がり関係している


新設されたセーフティーハウスを訪ねる事としよう

今日、再会出来たキッズの入所は叶うだろうか?
ローカルは地元意識が強く
その環境下、生き抜いて来た彼には水が合わないかもしれない
ただ蛇の誘惑に打ち勝ち、彼自身の本当の人生を手にして欲しい




またレポートします


そして繰り返しますが
春には
ちゃんと生きて日本に帰ります













A true story  text by sotaro ohdake
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