2010年に半年間過ごした街
南アフリカ=ダーバンに戻って1週間が経った

街を歩けば久しぶりだな!と声をかけてくるローカルも多い
しかし一方で1ケ月分前払いした宿には
旅の果て流れ着き、無一文になり、スタッフとして働いている日本人男性がいる
日常的に日本語を使い、質問や冗談を言い合っていると、日本人感覚が脱せない
つまり、街やローカル、外国人旅行者や現地のスタッフと一つ距離を置く形になってしまう
また、2年前と違いゲストハウスにfreeのwifiが設置され
毎日、日本のwebサイトに時間を気にせずアクセス出来る環境も、これらを加速させている


歩き慣れた街だが、危険な時間帯、道、シーンがある事には変わらない

2日の夜には同じくダーバンに馴染みのある日本人女性が強盗の被害に遭った
誤解の無い様に伝えたいのは、彼女の場合男女の関係、色恋のもつれが問題のベースにある
クラブで遊んでいた所、ナイジェリアンに声をかけられた
控えめに、また客観的に言って、彼らは血の気が多く街のトラブルメーカーに成る事も多い
曖昧な態度で接し、他のブラックと仲良く話していた事、また両者共に酒が深く入っていた事
彼女が一人で帰ろうとした所、一緒に帰れない事を逆恨みしたナイジェリアンガが逆上
映画のごとくビール瓶をたたき割り刃を向け彼女を蹴飛ばし

バカにするな!!との言葉と共に彼女は持っていたポーチを奪われた

2日の深夜、僕たちは総出で事態の収拾に努め
奪われた日本のケータイを止め、彼女の話を聞き彼女を慰め、そして叱りつけたりもした


僕はビデオカメラを回しながら彼女にいくつかの質問をした
印象的だったのはそれでも、彼女はアフリカやこの街が大好きで
その事に変わりなく、一旦友人に会いに安全な街ケープタウンへと移動するも
数日後には、予定通りこの街に戻ってくる

持っているから奪われる

その点で僕は男性であり、性的な観点ではハードなゲイにさえ注意すればいい
だだ、超小型とは言えビデオカメラ、サーフボードを手に街を歩く僕は
明らかに彼らより所有している人間に違いない

ゲストハウスと同じブロック、インド人が経営する商店に顔を出した

あなたは彼女に似ている
2年前、ひどい目に遭っているのになぜこの街に戻って来たの??
(僕は警察官にサッカーボールを取り上げられついでに、7対1で袋だたきにされた経験がある
 その時も街の皆は僕を慰めてくれた)

ひどい目にも遭ったがそれ以上に感動したり助けられたからだ
この感覚で生きたいと思ったからだ

僕はこの街が大好きだ


満員の地下鉄、放射能が混じった雨、中学生アイドルの動向がトップニュースになる国で
僕は語るに足る言葉をいくつ見いだせるだろうか?

ある作家の言葉を借りたい

僕は日本が大好きで同時に大嫌いでした
しかし、それ以上に世界が大好きでした


無茶な事に首を突っ込もうとは思わない
ただ、必要な混乱を経験し
彼らの気持ちに、より近づきたい

ちゃんと生きて帰ります










text by
sotaro ohdake
https://twitter.com/sotaro81