武道と云っても、対戦相手から攻撃されることも無く、狙い撃ちする的が逃げ回るでもない。

しかし、弓道は武道なのです。

 

もはや弓道の武道を教え導く師も見当たりません。

 

不言流の射を極めようと思えば、中指・薬指・小指の先で弓を押さえ込み、手首を反らしって弓を捻る射を止めなければなりません。

弓に触れるのは虎口と綿肉だけです。

捻りは虎口と綿肉との皮一枚が捩れて、手の内のコの字に弓が挟まって、必要最低限の捻りを生じさせます。

 

馬手で言えば、弦に弦枕を引かせ、前腕から手首から先が抜ける様に脱力し手引かせ、右肘先で支えます。

もちろん、ギリ粉は使いません。

 

この状態で伸び合って、自然に離れるのを待ちます。

自然に離れるとは、暴発の様なものです。

伸び合うこと以外、離れるために何もしません。

脱力出来れば、暴発・離れは出ます。

 

ただし、しっかりと伸び合い、緩まない状態で離れるので、下手な暴発の様ではなく、矢は的へ飛んでいきます。

この時、慣れぬ内は体がざわッとして、一瞬我を忘れます。

 

適度な会の長さを実現するためには、弓手前腕の内側や顔や時に耳などを弦で強打しつつ調整する必要があります。

 

こうした恐怖の伴う練習を1・2年やっていると、ある日弓の引けない日に至ります。

それは、練習の恐怖が心に積み重なり、ある日、顕在意識へ溢れ出て来たからです。

 

こうした経験から、念ずることで・イメージトレーニングで、顕在意識から深層心理をコントロール出来ることを得ました。

 

武道の戦いとは通常敵対者がいますが、相手が自分より強ければ負けるのも必然です。

しかし、自分の中の恐怖心に勝って、心法を知らぬ相手なら、まず、負ける事、ほぼ無しです。

 

で、戦いにならぬ様に落としどころを用意するのが、一番です。