射自体が完成の域に達しているのなら、後は狙いのつけ方です。

逆に言えば、射が未熟なら正しい狙いを付けるほど外れます。

 

基本的に言える事は、

1,会での矢筋が水平であること。

  半月や闇夜の的付けをすると、矢先が上を向いている場合は正しい方向より右を狙っている様に自分には見えます。それを解消しようとすると、的の左に矢が飛びます。

この錯覚を防ぐために、矢筋を水平にするのですが、弓を代えて弓力を上げたり、細く軽い矢にすれば解決できます。

2,会では、矢先が的と同じ高さに見えるようにする。

  長めの矢にしたり、矢の頬付けを鼻割りにして解決します。

 

私が出来る的付けは、

1,右目の真下から矢軸が伸びて的に向かっている会にする。

つまり、狙いの見え方としては、右目の真下から矢軸が伸びて、弓のすぐ右側に的が見える会にすれば良い訳です。

これで、左右の狙いは直付けであり完璧です。

・・・これを実現するには、第1に頭持ちと顔向けの調整が大切です。

第二には、弓の伏せ具合と角見の利き塩梅で、弦による耳や顔などの打ち付けを防ぎます。

・・・不言流の様に耳が頭にピッタリくっ付いた人は良いのですが、そうでない人は弦で耳を強打するので注意です。

 

2,丸い的に丸い矢先が重なる狙いにします。

矢の頬付けを鼻割りにしたり、矢を長めにして、丸い的に丸い矢先が重なると、的の中心に当たるような調整をします。

狙いの高低を更に精密にする為に、矢羽根の頬摺羽の的側の先端が耳たぶの定位置に触れている状態の会にします。

これで、基本的に上下の狙いは完成です。

 

3、弓の弓力や矢の重さ、矢羽根の状態などを一定に保つことが大切です。

把の高さや弦通り、弦の種類、矢を番える高さなど、一定に保つことが大切です。

季節、特に気温の変化で、多少の上下の的付け変化も有りですね。

 

十段くらいにもなると、こうした的付けは自身姑息にも思われて、誰も口にしません。

でも、不言流が会相を見ると、ああ、この先生しっかり中て気で狙っているって分かります。

人間の能力差なんて、単純なことであればある程、大差が無くなります。

四射してほぼ土足の人と二十射してほぼ皆中の人では、体力や運動センスの差より、弓道に対する骨の集積度や愛着心の大小が違うのだと思いますね。