的中率が7・8・9割台で、中っても外れても、いつもの様な矢所の諸君、
まあ、安定した失射を続けている君たちへ、一言知恵を授けよう。

近的で、矢道に特別な横風でもなければ、矢所の狂いは狙いと矢飛びが原因と考えられる。
正射をすれば、狙いの狂いも、矢飛びの狂いも共に1寸以下に抑えられるので、
それらを重ね合わせれば、矢所は0寸(的の中心)から2寸の間・半径2寸の円内に集まる。

ところが、失射、つまり矢の上下、左右の並進運動が起こってしまうと、矢飛びの不正に拠る矢所の狂いは少なくても4寸ほどに、急に大きくなってしまう。
矢飛びの狂いが4寸程に抑えられる射手は大体的中率が9割台で、それ以下の者は、4寸よりもっと矢飛びの狂いが大きい。

しかし、狙いの狂いというものは、初心者と中級者で大きな差は無く、1・2寸程度。
また、個人に於ける狙いの場合でも、疲労などによる集中力の変化によって、1寸くらいの狂いの変動幅が出る。

例えば、失射で9割台の的中率を誇る学生チャンピオンみないな射手を考えてください。
彼の狙いの狂いによる矢所の誤差は普通1寸です。
そして、(射術による)矢飛びの狂いによる矢所の誤差は4寸です。
これら2つの狂いによる誤差を重ね合わせると、その矢所は、的の中心から3寸以上離れ、5寸未満となる。
つまり、的の中心から平均4寸離れ、幅が2寸のドーナッツ帯の矢所となる。

更に、この射手が100射を数時間で射るような場合、疲労などによって狙いによる矢所の狂いが2寸になり、矢飛びで4寸の狂いを出していた場合、その重ね合わせた矢所は、
的の中心から2寸以上、6寸以下のドーナッツ状になります。

尺二の的は半径が6寸ですから、中心から6寸離れた矢所は木枠上です。
あと、矢飛びによる狂いが4寸より少しでも大きくなれば、的を外します。

ちょっと、まとめてみると、
1、射術による矢所の狂いに対して、狙いの付け方による矢所の狂いがかなり小さい為、
失射では、的の中心部分を避けたドーナッツ中りという現象が起こる。
2、自分の射の狂いの見方
狙いの狂い・・・最も的の中心に近い矢の中心からの距離と最も遠い矢の中心からの距離との差を2で割った値。
矢飛びの狂い・・・最も的の中心に近い矢の中心からの距離と最も遠い矢の中心からの距離の平均。
3、ドーナッツ中りの幅が狭いほど、狙いに狂いが少ない。
また、ドーナッツ中りの半径が小さいほど、射術の狂いが少ない。
4、ドーナッツ中りは失射の証。
5、正射は4寸的にほぼ皆中する。

外れる話・・・狙いの狂いが1寸で、矢飛びの狂いが7寸の射手の場合。
これらの誤差を重ね合わせると、
的の中心から6寸以上、8寸以下のドーナッツ状の矢所になる。
つまり、運が好ければギリギリ的枠に中るが、ほぼ外れの状態です。
狙いの狂いが1寸と小さく、ほぼ正確だから、射術的に必ず的の中心部分から外側へ7寸大きく外れる訳だ。

中る話
正射は自分以外で誰もやる射手を知らないが、失射もいつも同じように狂い、それが癖になってしまえば、中る所に狙いを変えてやって好く中る。
正射必中と同程度に中るだろう。
何より、正射より実現が可能なところが凡夫の心を引く。

狭き門より入れ。・・・そんな言葉が有ったね。

上級者というより、人間の能力として、近的に於ける狙いの誤差を1寸以下に抑えるのは容易で、2分(6ミリ)前後まで高められると考えられる。
勿論、この6ミリの誤差とは、矢所でのことを言っている。
そのくらいに人間の狙いの感覚は鋭いと云える。
つまり、矢所の狂いは、その殆どが射術の狂いによるものだ。

自分で正射が出来るようになれば、こうした狙い感覚の鋭さが実感される。

会の状況の矢筋は好い。
離れの出し方と矢離れするまでの弓手の支え等に、殆どの問題が有る。