矢筋引きという言葉は誤解され易いのですが、矢筋に押し引きするという意味ではありません。
矢を矢色無く矢筋通りに飛ばす引き方という意味です。

矢飛びを詳しく見るには、的前より巻き藁前、巻き藁前より裏巻き藁前です。
裏巻き藁は、裏側を壁に押し当て何年も同じ中心部分を射続けて、藁が微細な粉になり、矢によって硬く押し固められたものを云います。
そうしたのを、前後の向きを逆に置き換えたのが裏巻き藁です。

この裏巻き藁を使うと矢先1寸ほどの刺さる瞬間の角度が如実に分かり、同時に矢色の有無も筈の動きとなって、明確に確かめられます。
まさに、矢飛びの出来不出来が限りなく正確に把握できます。

この実験の目的は、会での矢筋通りに矢を射出する押しと引きの組み合わせを得ることです。

さて、押しの方は、上押し、中押し、ベタ押しの三種類です。
引きの方は、右肘の高さで区別します。
弦枕と同じ高さの右肘先、肩と同じ高さの肘先、それらの中間の高さです。
ただし、私の押しは、上押しの利く上押しと中押しとベタ押しです。

射距離は3.2mで、102cmの棒矢です。
把の高さや矢番えの高さ、足踏みの幅など、一定を保つようにして実験します。
また、口割りや籐と的との重ね合わせにも、十分注意します。
水平な会の矢筋とその延長線上の的を裏巻き藁に設定します。
この3種の押し方と、3種の引き方とを組み合わせて、9種類の射を各5射ずつ行います。

計測の仕方は、矢の刺さった向き(上向き・5度以上、少し上向き・2度以上5度、ほぼ垂直・-2度以上2度、少し下向き・-5度以上-2度、下向き・-5度未満)を調べます。
矢の重心の高さを、的の中心を基準として調べます。
また、的中した射もチェックしておきます。



ということで、全45射の内、、22射を射終えた所で矢が抜けなくなり、実験を中断しました。
その射は的中していましたが、矢勢が乗っているのが弓手に感じられました。
ベタ押しで、中の右肘の高さでした。

皆さん、ベタ押しを馬鹿にされる傾向がありますが、手首が負けないベタ押しは凄いんです。
本多流の真髄も中指より、ベタ押しに有ると不言流は考えています。



ということで、私の普段の実験の一例を紹介いたしました。
22射のデータだけでも、矢離れ直後の矢の姿勢やそれらに影響する押し方、引き方間での影響力の差などを初めとして、多くの矢飛びの法則性が見えてきています。
まあ、こういうのが弓道の基礎研究というのでしょうが、同時に会での形・働きを整えるのが弓道の要です。
道元は、形・作法の在り方を整えるのが仏法と言っていましたね。



もう一度、実験をやり直して、分析・統合を図ります。
結果と考察などの概略は、アメンバー限定で公開いたします。