手の内考

手の内の在り様を考えるには、まず射術の目標を定める必要が有ると、思います。
私の射術の目標は、正直で矢勢の有る矢飛びです。
勿論、この目標を成し遂げるのは手の内の有り様や働きだけではありませんが、ここでは手の内に注目して考えてみようと、思います。


前ブログより・・・手の内の四景
3、弓の形に準じて手の内の形を作り、手の内の形で弓に力を働きかける。
4、弓の形に準じて手の内の形を作り、会で手の内の力を抜いて弓に手の内を馴染ませる。

さて、射術の目標を成し遂げる為に必要な手の内の働きを考えてみます。
ア、離れに於ける大きな弓力を支える。
イ、弓を矢の進路から避ける。
ウ、矢筋に沿って弦返りさせる。
エ、上押しが利く。
オ、弓返りさせる。
これら5項目の内、前述の3と4の項で明確な差異を生ずるのは、ウとエの項です。

ウ項の場合・・・前述3項では、手の内の形によって角見感・捻りを生んでいますが、この場合は「弓手首や左腕までを巻き込んだ横引き」になっています。
よって、弦は矢筋に沿って返る事が難しいと言えます。
前述4項では、手の内の力を緩めることで手の内が締まります。
この「締りは、手の内に捻りを内在させる働きが有る」ので、後は弓手首も含めて弓を矢筋に押す、「矢筋引きの射」を可能にしています。
ですから、弦も矢筋に沿って返り易いことになります。

エ項の場合・・・「上押しが利く事と弓手を振らない事、弓手首を反らない事は、不動の押手に集約」されます。
・・・前述3項の筋肉の使い方は、不動の押手を構成する筋肉の使い方とは反するので、「充分な上押しが利き難い」と思います。
・・・前述4項の筋肉の使い方は、不動の押手を構成する筋肉の使い方を阻害しない為、問題は有りません。

結局、今回の問題は、横引きと矢筋引きの射の差異だろうと思います。
会では矢筋に沿って伸び合うという一事に専念することだと思います。・・・矢筋引き

『会から残身まで、何も引かない、何も足さない。』