「自然が好きです」と言っている私が好きな自然は穏やかで平和な自然です。強烈な台風や地震など天災を引き起こすのも自然であることを考えに入れないで言っています。庭に小さな畑を作っていた頃、畝(うね)を作らずに種を蒔き、大笑いされたり、やたらに窒素分の多い肥料(ゴミを腐らせたもの)で葉ばかりが大きくなってしまったり。


 私の持っている「常識」とはその程度のことなのですが、そんな私も笑ってしまうようなことを、時々聞きます。


 お米の分搗き米の話をしていましたら、真面目に「五分づきは白米と玄米の割合が5:5である」と思っていたと聞いたとき。


 茄子(なすび)は蔓(つる)性の野菜であると聞いたとき。


 芝生に庭で読書をするのが好きだと言っていた友人が、みみずが大嫌いだと言うのを聞いて、ミミズのいない芝生って?


 これはほんの一例ですが、こんな話が沢山あります。


 今は、ほとんどが都会に住み、自然が身近にない生活ですから、旬(しゅん)のものという感覚は無いのが常識です。


 そんなことを言っている私は、魚の旬はほとんど知りません。


 マクロビオティックを自分の食生活に取り入れようとするとき、旬のもの、性質などが解らなければ、取り入れ方を間違うでしょうし、教えて貰ったからと、自分の身体と食物の持つ性質との兼ね合いの結果が招来するものを、あらかじめ判断できません。


 創始者の桜沢如一先生が、非常な勉強家であった事を聞くに付け、常識すら備えていない者が指導することの危うさを時としてかいま見させられています。