私たちの一応の常識では、人類の祖先はアフリカで誕生し、世界に広がったと言うことです。もっとも、ごく少数の意見として、他の星からと言うのがあり、その意見も、楽しく私の想像力を刺激しますが、その話は置いておいて、数日前、関野吉晴さんの講演を聴く機会がありました。


 彼が、200万年前、人類最古の大人と子供の二足歩行の足跡が発見された、アフリカ、タンザニアのラトリエをゴールと定め、南アメリカ南端から、北上、ベーリング海を渡り、ユーラシア大陸を横断、アフリカへ。10年をかけた尽力と自転車の旅のお話は、その旅程の壮大さと、行き会った人々への愛情が伝わってきました。


 その旅の記録の2冊

関野 吉晴
我々は何処から来たのか―グレートジャーニー全記録〈1〉移動編
関野 吉晴
我々は何処に行くのか―グレートジャーニー全記録〈2〉寄道編
を会場で購入、早速読みました。

 「我々は何処に行くのか」では、著者は、出会った人々の中から、共感し、あるいは考えさせられる人々にスポットを当てています。

読んでいて、その目の温かさと、目線が高いところではなく、そこにいる人達と同じ所に立っている事にとても感動して読みました。私には、著者のようなダイナミックな旅は望むべくもありませんが、そのメッセージは、心の中に響きます。


 快適を求めた果てに住む我々の世界に、生きるすべを奪われてしまった、あるいは奪われようとしている人達が、生きるために移らざるを得ない状況や、それでも尚、その困難さの中で、家族の大切さを知り、共に生きなくてはいけないと言うことを。困難を抱えた中で暮らし、見いだす人達に、著者は質問します。「強さ」と「やさしさ」のどちらが大切なのかと。其の時の答えは「やさしさ」でした。


 我々が追求してきた快適さの結果は?そんな問いが、この中に詰まっていました。