生小豆

 私達の行事食の一番に揚げられるのではないかと思われるのが、赤飯です。お誕生日、入学、卒業、就職、昇進等々、今はそんなことを構わずに買って帰る赤飯も、少し前までは、おめでたい事が家族にあるときには、必ず食卓に載せられました。


 今は、大好きな赤飯ですが、小さい頃はちがいました。そうそう、月初めの一日(ついたち)15日も赤飯を食べる日でした。その頃、私は。3世代家族でしたから、月に平均3回。親戚やご近所同士でのおめでたのお裾分けがありましたので、4~5回は食べていたのではないかと思います。


 食べたくないというと、祖母が「小豆はずれはせんもんや、ちょっとでええから、いただきなはれ」と、縁起物として、一箸でも口に入れるように命令しました。それほど大切な、赤飯を食卓にのせることで、家族中が、喜びを分かちあう。団らんの象徴的な想い出です。


 食器棚の中かの角切りのお重を見て、この様なお重にお赤飯を入れて、胡麻塩をかけ、上に南天の葉を

置き配られていたことを思い出しました。

お重


 玄米食では

 玄米を食べにくいと思うときには、玄米を炊くときに、小豆を入れると、おいしいご飯になり、抵抗が無くなります。


 小豆入り玄米粥を、特に「おめでとう」と名前を付けています。私は、小豆入り玄米御飯が残って硬くなってしまったときには、「おめでとう」と、しゃれて水を入れておかゆに炊き直していただいています。お粥は、食べ過ぎて、胃の重いときなど食べると、症状が軽くなるように感じます。


 「小豆と昆布の炊き合わせ」は腎臓病の方の治療食として、昔から食べられてきました。マクロビオティックでは陰性の腎臓病にと有りますが、小豆を炊くときに、こぶを入れますと、両方ともとても柔らかくなるのが不思議にうまい取り合わせだと、治療食として炊くのではなく、副食として作っていて思います。


 「小豆と南瓜の炊き合わせ」上記に南瓜が入ったものですが、糖尿病の方の治療食には、マクロビオティックでは、必ずと言って良いほど、食べるように勧められます。知人のお父さんは、忠実に実行して、回復したと喜んでいました。それほど効果のある食べ物のようです。


 「ヤンノー」桜沢里真著の「マクロビオティック料理」では5種類の穀物で作った栄養たっぷりの飲料となっていますが、売られているのは、小豆の粉だけでしたが、取り敢えず作って飲みますと、刺激が無く、おいしい飲み物になりました。


 「小豆の洗い粉」が洗顔用に売られています。使ったことはありませんが、日本では、古くから使われてきたようです。


 勿論、小豆は和菓子の世界では、欠かせないもの。


 大豆は昔から、おかずの食材、発酵食品の材料です。それに比して、小豆は、おかずの食材としてより、むしろ、行事食や、特殊な材料としての面があります。陰陽で言えば、大豆より陽性な食べ物です。動物性食品の摂取が少なかった我々の祖先は、身近な食べ物を使って、陰陽のバランスを取る知恵を蓄積してきたのです。そのような知恵は、グローバル社会になったからと捨ててしまって良いものではないと思います。


 漢方薬的小豆

 古代においては小豆は薬として利用されていました。小豆に含まれるサポニンには溶血作用があって、血栓(血のかたまり)を溶かす働きをもっています。そのため、昔の人は産後の肥立ちが悪い女性に小豆粥を食べさせたものです。お産の時にできた血栓が体内をめぐって、心臓や脳でつまらないように、その血のかたまりを溶かすために食べさせたのです。また、小豆に多く含まれる鉄分は、血液の原料でもあるので、その供給にも有効でした。

 小豆には心臓の機能を強化する働きがあり、その上、血液を浄化する機能ももっています。これは小豆に含まれるサポニンなどの働きによるものです。


 小豆を煮るとき、普通は灰汁を取るために、煮立つと煮こぼしをしますが、マクロ的には、灰汁にも薬効があると言うことで、そのまま時間をかけて煮ます。私には灰汁気を余り感じられません。


PS:メールマガジンを読んでいましたら、主題とは離れたところで、面白いトピックスに出会いました。オランダはマクロビオティックが初めに広がった国だそうで、医者に行って、少々の病気では、診察しても、薬はくれなくて、家で休暇を取って寝ているように言われるとか。病気の場合、休暇は簡単にくれるそうです。


 マガジンの書き手は、困ったモンだと嘆いていましたが、私は、何と素晴らしい国よ、何と素晴らしい日本人が、オランダ医学界全体に偉大な影響を与えた事よと、その影響力の大きさに感激しました。